【翻訳】人気低迷?スタンダードに何が起こった?(CFB)
2017/01/04
スタンダードの人気が落ちてきているという話が登場。自分の周りでは大阪という大都市なのもあってスタンダード大会は盛況で新規プレイヤーも次々増えていますが、地域によっては本当にスタン人口が減っている・・・?Channel Fireballから、コメント大噴出中の記事を翻訳しました。今、スタンダードに何が起こっているのか!?
(原文はこちら)
What’s the Matter with Standard? By Brian DeMars
(翻訳)
先週、私が出た二つの別々のトーナメントは、既定の8人の人数に到達しなかったので成立しなかった。1年前は、こんな不運なことはあり得ないと思っていたが、今は珍しい事ではなくなってしまった。
最初に言っておきたいが、今のスタンダードで繰り返される流れがフォーマットとして良いとか悪いという訳ではない。もっと良いと思ったスタンダードも、今より悪いと思ったスタンダードもプレイしてきた。だとすると、今のスタンダードの人気の衰えは何が原因だろうか?
モダンがスタンダードの領域を侵食している
スタンダードのゆっくりとした人気低下の原因はモダンだ。モダンがスタンダードに与える影響は色々な見方があるが、今はモダンがフォーマットの王様だという考えを否定するののは、現実から目を背けると言う事だ。
私は先週スタンダードをプレイでいなかったが、モダンでは35人以上が集まる地元の平日大会を複数回プレイできた。1年2年ほど前からトレンドが逆転してしまっている。
では、プレイヤーのみんなはモダンの方がスタンダードよりも好きなのだろうか?モダンが何らかの理由で優れているか、より楽しいフォーマットになったのだろうか?
いや、私はそうではないとも考えている。モダンは素晴らしいフォーマットだが問題が無いわけではない。GPダラスに出た時、複数のプレイヤーからモダンの早さと壊れっぷりに困惑しているという話を聞いた。先週、私は高速コンボデッキを抑える修正案をいくつか書いた。モダンは楽しくて遊びやすいゲームだけが支配する楽園ではない。
何よりも、モダンがローテーションが無いフォーマットであるからプレイヤーは気に入っているのだと思う。長い期間で見たら安全な投資だから、彼らはモダンの定番カードを集める方が落ち着いていられるんだ。
スタンダードの人気が低下したことを受けて、ローテーションの高速化がすぐに見直された。モダンの安定性は、移り変わりのあるスタンダードよりも魅力的であると言っても差し支えないだろう。
新規プレイヤーが減ったのか?
スタンダードはずっとカジュアルプレイヤーをFNMやお店の競技シーンに引き込む入り口だった。他のどのフォーマットよりもコストが安い事は大衆を呼び寄せるには十分だった。
スタンダードのローカルな大会の参加人数が減っているから、マジックが新規参入が落ち着いてきたのだろうかと考え始めた。これは「鶏が先か卵が先か」という話かもしれない。スタンダードの人気が落ちたからFNMの新規参入が減っているのか、それとも新規参入が減っているから大会の参加人数が減っているのか?
スタンダードは「解明」が速すぎる。
バランスを維持しながらカードを作り続けるのは困難だから、ゲームデザイナーとプレイテスターを尊敬をせずにはいられない。それでも、スタンダードはあまりにも「解明される」のが速い。
革新を狙って新しい事を試すスペースが無いと感じるフォーマットほど酷いものはない。プレイヤーは新しいものを表現して、新しいゲームを見て、新しい経験に興奮したいんだ。モダンは確かに停滞してはいるが、何十個もデッキがあるという違いがある。環境の変化は遅いが、プレイヤーが飽きる前に経験出来る事が大量にある。特に、比較的小さなローカルのイベントに出るプレイヤーは。
技術や情報が加速することで情報に接するスピードが速くなるにつれて、「解明された」フォーマットという現実は問題になってきた。昔のもっと開かれたフォーマットでも、今でこそ愛されているけれど、もし最近生まれたなら違う運命を辿って苦しんだかもしれない。それを踏まえても、スタンダード(一番カードプールの狭いフォーマット)は多くのデータに触れることが出来るために障害にぶつかっている。
スタンダードは「デッキ」ではなく「カード」が全てになった。
スタンダードの一番の落とし穴の一つは、ゲームが「最強の」カードを正しいマナカーブで引くかどうかで定義されることだ。良いマナカーブはゲームの基本だが、カードプールが狭いということは、それぞれのコストで最強のカードとそれ以外でより大きな違いが出ると言う事だ。
例えば、《密輸人の回転翼機》を見てみよう。
アグロデッキで2マナ域に《密輸人の回転翼機》を入れているデッキと入れていないデッキとのドローの差は明暗を分ける、なぜなら《密輸人の回転翼機》はそのデッキのどのカードよりも強力だからだ。同じ事が、そのマナカーブの神話レアのプレインズウォーカーを突っ込めるかどうかでも言える。
明らかにフォーマットの他のどれよりも強力なカードが少しある状況だと、プレイヤーはこれらのカードを使う事を強制されて、ただその一番良いデッキをプレイせざるを得なくなる。
この問題を解決することが出来るとしたら、これらのパワーカードに対してもっと効果的か柔軟な回答を印刷してやる事だ。特にプレインズウォーカーは精神的な緊張感が大きく、「効果的に」除去できたとしても相手はアドバンテージを既に得ている。
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デザインが、脅威よりも強い回答が支配するゲームにしたくないのは分かる。《剣を鋤に》はスタンダードでは健全なカードではない、しかし最強のカードと相互干渉をする手段が無ければ、フォーマットはただ最強のカードをデッキに入れてそれを引くようお祈りするだけになってしまう。
直近の2つのスタンダードは明らかに《先祖の結集》のコンボデッキと《集合した中隊》アグロデッキに絶対的に支配されて、それらの「最強のデッキ」を妨害する手段がプレイヤーに与えられていなかった。だから、(回答があっても)いいじゃないか?もしデザインがスタンダードに超ぶっ飛んだカードや戦略を解き放つなら、それらに干渉する強力なカードも無ければいけない、という教訓が出るはずだ。
もし、昂揚のような墓地を利用する戦術が一番上にあるなら、墓地対策があるべきだ。
スタンダードはもっと良いマナセットが必要だ。
プレイヤーがスタンダードに熱狂したセットと言えば、二つのセットが思い浮かぶ:『タルキール覇王譚』と『ラヴニカへの回帰』だ。
この二つのセットは、かつて私が議論をしたフォーマットを歪める壊れたカードもあった。
しかし違いは、これらのセットはプレイヤーに強力なマナへの自由なアクセスを提供していたことだ。マナはプレイヤーが出来る事と出来ない事を一番制限する要素になることが多い。
スタンダードに良いマナベースがあると、デッキビルダーには選択肢が増えて、フォーマットが「解かれて」しまうことも防がれる。特定の呪文や効果にアクセスするために色をタッチする事も出来るし、より多くのデッキが強力な呪文を活用することが出来るようになる。
その一方で、より多くのデッキが《包囲サイ》をプレイできるようになるのは悪い事かもしれないが、多くのプレイヤーはいずれにせよアブザンをプレイするだろう。少なくともアブザンデッキを色々なことが出来るようにカスタマイズしたり、普通は出来ないが他のデッキに《包囲サイ》をタッチするという選択肢がある。
マナがフォーマットを制限していると、メタゲームは僅かな最強のカードを使うための正しいデッキを見つけるだけの作業になり、それ以外の探求は無くなってしまう。
その時で異なる強さの複雑なマナ修正が与えられることは良いと思う。しかし良いと思う一方で、それがフォーマットに良い影響を与えているかは分からない。プレイヤーはフォーマットに選択肢が少ないと感じて、すぐに面白くなくてプレイ出来ないと感じてしまう。
マナの制限は影響が大きい。ただ単純にに「フリー」のマナをいつでも与える訳には行かないことは理解できるが(いずれにせよカードにはコストがある)、マジックは選択肢が多い方が楽しい事も分かっている。マナベースが良いと選択肢も増える。
スタンダードは絶対にモダンのような選択肢が与えられることは無い。モダンはカードの種類もマナベースもずっと豊富だ。しかし、一貫した強さのマナを加えることは、スタンダードを修正する助けになる。
新しいフロンティア
モダンとスタンダードの中間に存在する「フロンティア」というフォーマットが草の根で広まっている。
フロンティアはMagic 2015以降の全てのセットを対象として、モダンのようにローテーションは起こらない。このフォーマットはモダンで問題になっている多くのカードを、ただ単にセットとして参照しないことで禁止していて、かつてエクステンデッドが「スーパースタンダード」と呼ばれていた頃の雰囲気に近い。
フロンティアの良い所は、モダンで禁止されるべきだと思われそうなカードが排除されて、新しいセットのカードが注目されることだ。
フロンティアがウィザーズにサポートされるようになるかはわからないが、近い将来このフォーマットを試してみたいと思う。新しいフォーマット、特にイノベーションが出来る空間があるフォーマットは大好きだ。いくつか例を見てみよう。
ゲートウォッチ配備
呪文35
4:《光輝の炎/Radiant Flames》
4:《ゲートウォッチ配備/Deploy the Gatewatch》
4:《ニッサの誓い/Oath of Nissa》
4:《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》
4:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
4:《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger》
2:《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor》
1:《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》
2:《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》
2:《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
土地25
2:《平地/Plains》
1:《森/Forest》
1:《山/Mountain》
1:《沼/Swamp》
2:《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
1:《燻る湿地/Smoldering Marsh》
4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2:《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
1:《梢の眺望/Canopy Vista》
2:《乱脈な気孔/Shambling Vent》
イーサーンカンパニー
クリーチャー29
4:《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
1:《シディシの信者/Sidisi's Faithful》
4:《エルフの幻想家/Elvish Visionary》
4:《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》
1:《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
1:《無私の霊魂/Selfless Spirit》
4:《反射魔道士/Reflector Mage》
4:《放浪の吟遊詩人、イーサーン/Yisan, the Wanderer Bard》
1:《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》
1:《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1:《呪文捕らえ/Spell Queller》
1:《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
1:《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》
1:《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》
呪文7
3:《召喚の調べ/Chord of Calling》
4:《集合した中隊/Collected Company》
土地24
4:《森/Forest》
2:《島/Island》
2:《平地/Plains》
2:《梢の眺望/Canopy Vista》
2:《大草原の川/Prairie Stream》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4:《植物の聖域/Botanical Sanctum》
心配なのは、もしフロンティアが出たら、さらにスタンダードから人が離れて行かないかと言う事だ。正直に言うと、もし選べるならスタンダードよりもフロンティアをずっとやりたい。結局のところ、スタンダードはどうなってしまったのだろうか?
私の分析では、スタンダードの人気がモダンと引き換えに落ちて行っていることは間違っていない。今の状況を考えると、スタンダードが存続し続けるためには模様替えが必要だろう。大きな課題は、モダンが提供するメリットに対抗できるスタンダードならではのアイデンティティを創ることが出来るかだ。我々は、モダンが完全にスタンダードと入れ替わった新世界に突入しているのだろうか。そのような気がして来た。
(翻訳終了)
原文の記事ではコメント欄にもいろいろな意見が出ています。「赤単が欲しい」、「神話レアが高過ぎる」、「今のスタンダードは良くなってる」、「フロンティアはグッドスタッフで殴るだけだから面白くない」などなど・・・CFBの他の記事は10~20程度の中で300コメント以上も伸びています。この下のコメント欄も気軽に書き込んでください(宣伝)
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