【閲覧注意】お前の環境はクソだ:カラデシュスタンダード(SCG)
2016/11/08
スキルの話で個人的に注目をしていたMark Nestico氏がひたすら環境に文句を言い続ける、人気か分からないけどなぜか続いているシリーズ。ネタ半分で読んで、真に受け過ぎないように。
(一部省略しています。原文はこちら)
Your Deck Sucks 2016 Edition: Kaladesh Standard by Mark Nestico
(翻訳)
多くの人がスタンダードのファンだ。しかし多くの、たくさんの人はスタンダードのファンじゃない。
毎回この「お前のデッキはクソだ」「お前の環境はクソだ」シリーズを書くと、どこか暖かくて落ち着く感触が沸いてくるのだ。分からない。多分、自分の事がReddit(訳注:世界的掲示板サイト)のスレで描かれるのが気持ち良いのかもしれない。自分の創造が行き詰った時、まず本能に従って自分の根っこに戻ることがある:ヘイトを浴びせる。
では、忌まわしき行いを始めよう。
★戦乱のゼンディカー、イニストラードを覆う影、カラデシュ
最後にスタンダードの話をした時、「トーナメントで会ったらぶん殴ってやる」という感じのメールを受け取った。実際に殴られたことは無いから、ちょっと煽ってやるとしよう。
今君のフォーマットは、《密輸人の回転翼機》の夏、いや、もう秋か。まあインターネットで呼びやすい名前なら何でもいいや。とにかく、現時点で君のデッキはほとんど必ずここから始まる:
君が戦乱のゼンディカーの時からプレイしていたエルドラージも、イニストラードのゾンビやら何やらも忘れよう。カラデシュが出て来ておかげでマジックが良い方向に発展して、環境が終わるころには輝かしい明日が待っていると君は考えていただろう。
しかし、そうではない。
今この環境は、2マナのアーティファクトに完全に支配されている。僕が「このカードは禁止されるかもしれないから気を付けろ!」と言えば、考え過ぎだと文句を言われる。僕が「君たちはいい加減落ち着こうよ!」と言えば、わんさか人が沸いてこのカードはスタンダードを楽しくないフォーマットにしていると言ってくる。僕が何を学んだ?結局一部の人は文句を言うのが間違いなく大好きなんだってことだ。
しかし、これはまだまだ序の口だ。最悪じゃない。環境にどんだけ少ないデッキしか息をしていないか見てみよう。
★環境を定義するカード
《密輸人の回転翼機》
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
《密輸人の回転翼機》
《屑鉄場のたかり屋》
《安堵の再開》
《コジレックの帰還》
《約束された終末、エムラクール》
《奔流の機械巨人》
《模範操縦士、デパラ》
《霊気池の脅威》
《スレイベンの検査官》
《密輸人の回転翼機》
もっと入れてもいいけど編集者が来るからこれ位にしておく。どれだけリストが増えようが関係ない。確かに、プレインズウォーカー、アーティファクト、クリーチャー、多色カードと多彩なカードが使われているが、それに騙されてはいけない。この環境は酷い。みんなそう言っている。
僕が文句を言いたいことはまず、これらのカードはよくデザインされていて理解できるが、以前ほどクールに感じなくなったことだ。スタンダードは今よりもっとスキルが必要だった。マシーンヘッドとマーフォークの勝負を経験したことがあるか?マシーンヘッドは《疫病吐き》があった。僕は《波止場の用心棒》で相手をバウンスしていた。
君は多様性が健全なスタンダードを作ると思うかもしれない、しかし現実はここ数年で一番不健全だ。最後に数えた時は15くらい使えるデッキがあったけどまるで不健全な環境だった。メタゲームも何もあったものじゃない。どうしたらいいんだ。壁に対策が必要なカードの画像を貼ってダーツでも投げるか?ダメだ。僕はダーツは苦手なんだ。もし間違って飼ってる猫に当たったらどうする?
白青フラッシュのカードは、まるでスタンダードなのにモダンのデッキと戦っているように感じる。軽い妨害、カードパワーの高さ、プレッシャー、そして手札交換。赤黒ゾンビの攻撃的なクリーチャーは強力で、しかも死なない。《霊気池の脅威》はここ数年で一番のコンボカードだ。《安堵の再開》はいろいろなデッキを機能させる。《奔流の機械巨人》はコントロールの夢だ。
ちょっと待った。僕はここで文句を言うはずで、カードを誉めるために書いてるんはずじゃなかった。ちょっと待ってくれ、流れを戻そう。
僕は《密輸人の回転翼機》が嫌いだ。
うん、君は歴代でも2番目に強いプレインズウォーカーだな。あらゆるデッキに入る。あと6か月追加でプレイできる。どれも嬉しい事じゃないが、大抵の色にはギデオンに回答がある。だからまあ、そこまでクソじゃない、多分。
ここ最近では一番興味深いクリーチャーの一つだろう。軽いコスト、コントロールを殺し、《秘蔵の縫合体》を起動し、《憑依された死者》で捨てるカードにもなる。しかし頭悪そうな顔だな。こいつが一体何者なのかまるで分らないよ。
僕がこれをマジックで最強の1マナ域と書いたらみんな僕をバカだとのたまう。Michael Majorsが同じことをすると、彼はヒーローだ。《スレイベンの検査官》は僕にとってほろ苦い存在だよ。
★環境のデッキ
そう、この環境はかつてないほど「多様」なスタンダードだ。このリストが君にとって楽しいフォーマットか、見てから考えよう。
・金属製の巨像
・緑赤エネルギー
・ジェスカイフラッシュ
・白青フラッシュ
・ティムール《霊気池の脅威》
・赤白機体
・黒白トークン
・マルドゥ機体
・黒緑昂揚
・アブザンプレインズウォーカーコントロール
・黒赤ゾンビ
・黒赤吸血鬼マッドネス
・グリクシスコントロール
・グリクシス現出
これだけデッキの幅が広い残念なところは、プレイングがタイトになってしまうことだ。2ターン目に《群れネズミ》を出して、前のターンに除去を《強迫》で落としておいてそのまま勝てた時代が懐かしいよ。
間違いなく、強いデッキはスキルが必要で、一番アグロなデッキでもそれは同じだ。黒赤ゾンビでプレイするカードの順番を考えるだけでもめまいがする。一つのミスが致命的な遅れにつながる。《経験豊富な操縦者》でどう占術するか、《新緑の機械巨人》でどのクリーチャーを強化するか、どれもこれも複雑で、同じデッキでプレイを繰り返していてもあらゆるゲームが別物だ。だけど、ほら、みんな白青フラッシュに乗っかってるんだから、それはちょっとマズいだろ?
君は「そんなに悪くないんじゃない?」と言うかもしれない。それも正しい。実際『カラデシュ』スタンダードはデッキビルダーの楽園で、選択肢は山ほどあり、イノベーションを起こす場があり、これまでの何年も無かったくらい多様なアーキタイプが登場した。疑う余地はない。少なくとも2つのコンボデッキがあり、コントロールデッキがいくつかあり、アグロデッキとミッドレンジデッキも出て、誰にとっても使えるデッキが存在するのだ。
これはひどい。
つまり、山のようなデッキを相手にテストし、それこそ10年に1度くらいの広すぎるフォーマットを戦い抜かないといけないのだ。ウィザーズがここまで想定していたとは思えない。
「だけどマーーーーーーク!どのデッキもコプターをプレイしているじゃないかァ!!」
うん。その通り。だからどれだけこの環境が素晴らしくて、僕がこの環境を愛して嫌っていても、文句が出てしまうのだ。ついさっきもFacebookで「どのデッキもコプターを入れてるからこの環境は停滞している」という話を読んだ。しかしそれは、誰もかれもが回転翼機を使いつつも、その先の多様なゲームプランで活かしているという事実を無視している。
★今のスタンダードはクソじゃない
僕が所属しているTeam Nexusの間では、今までで一番良いスタンダードだという考えで一致している。
今はマジックで一番人気のフォーマットがルネッサンスを迎え、カラデシュは世界の中心だ。過去のイライラさせられる環境と比べて、今のスタンダードはデッキを適切にプレイした側が報われる。デッキが似ているようで同時に異なるからだ。全く異なる動きをするカードが飛び交い、誰も見慣れないようなプレイを要求する面白いマッチが次々生まれている。そこが怖い所でもある。理解できない事に反発が出るかもしれない。
真実は、スタンダード環境はクソじゃないかもしれないってことだ。いつものように文句を言ってやろうと思ったけど、悪くないと思う理由の方が次々と出て来るんだ。
おめでとう。我々はスタンダードが素晴らしくて僕が間違っている、楽園のような環境に生きている。もちろん僕はいつでも間違っているから、鵜呑みにしないように。
みんな、楽しんでくれたまえ。今のような状況が続くなら、何も文句を言うことは無い。
(翻訳終了)
無理やり文句をつけようとしたけど実は多様で良い環境だった、というツンデレオチでした。モダンのような環境と言われた開始時点から、コンボデッキが出現したり、コントロールが優勝したり、フラッシュとミッドレンジが支配したり、意外と回転の速い環境ですね。少なくとも直前のセレズニアポカリプスやバントカンパニー全盛期よりはずっと楽しい環境だと思います。え、自分?コントロールを組んでは爆死してますよ?