【駄文】哀愁溢れる黒の新種族を象徴する2枚のカードを語る
(はじめに)
この記事は翻訳でも攻略でもない、ただのフレーバー中心のヨタ話です。
MTGでは昔から、黒は悪の象徴、死の恐怖、倒すべき敵でした。
何といっても、古くはアンティキティーからインベイジョン・ブロックまで、黒はずっとファイレクシアの色だったのです。
また、常にデーモンは徐々にカードパワーを伸ばしながら、黒の邪悪な力を体現してきました。
おいそこ、出オチとか言わない!
多色に目を向けると、黒を中心とする青黒赤の3色を纏うニコル・ボーラスは、MTG克明期から相変わらず何かを企んでいるますね。カラデシュ・ブロックの次の「アモンケット」では、ボーラスと再会できるらしいです。
あまり知られていないと思いますが、ローウィン~シャドウムーアブロックでも《妖精の女王、ウーナ》はストーリー上のラスボスとして君臨しています。
黒は常に世界を破壊し、あるいは世界を支配しようと触手を伸ばし、またはゾンビや吸血鬼といった怪物として登場しては人類を脅かしてきました。それに立ち向かう他の色の勢力、という構図が長く続いていました。
しかし、「テーロス」でそこに転機が訪れます。
《死者の神、エレボス》は、これまでほとんど邪悪の象徴という扱いだった黒に対して、一種の思想性、哲学を与えました。ヘリオッドの影として生まれたエレボスは、死者の国に追放されてしまいます。エレボスは光の当たる世界を羨みながらも、己の運命を受け入れて生命のサイクルの死の部分を守り続けています。
テーロスに出て来る「蘇りし者」も、仮面をつけた不気味な姿ながら、感情を持ち、どこか悲しげな雰囲気を纏っており、それまでの黒にあまり見られなかった立ち位置です。
そして「戦乱のゼンディカー」や「イニストラードを覆う影」ブロックでは、エルドラージと戦う仲間の一員として、明確に黒も参加しました。このような主人公サイドとしての役回りは梅澤一族以来だと思います。
そして、「カラデシュ」では全く新しい黒の種族が登場します。
それが「霊基体」。
世界選手権の途中で行われたパネルで語られた話によると、「霊基体」は霊気を精錬する時に生まれる副産物のような存在で、いわばスモッグの代わりに生命を持って生まれて来るそうです。数か月から数年の寿命しかなく、そのために一分一秒を無駄にしないために眠る事無く戦いやレースなどの享楽に向かう。
廃棄物から生まれた生命とかむっちゃ悲しすぎるじゃないですか・・・
その霊基体を象徴するカードがこちら。
日本語の画像がまだ無いので自前で訳してみました。
《Live Fast》
カード名:「生き急ぐ」
あなたはカードを2枚引き、2点のライフを失い、(E)(E)を得る。
FT:「機会があるなら、それを掴め。笑い、歌い、踊れ。夜を終わらせるな。」
《Die Young》
カード名:「若くして死ぬ」
クリーチャーを1体対象とする。あなたは(E)(E)を得て、その後望む数の(E)を支払う。ターン終了まで、そのクリーチャーは支払われた(E)につき-1/-1の修正を受ける。
FT:「時が来たら、受け入れよ。永遠に続くものは存在しない。」
黒のスーサイド要素と除去能力を、このような形に落とし込むとは思いませんでした。《Live Fast》で人生を謳歌する花を持った霊基体の姿と、《Die Youung》で力尽きて崩れていく姿が見ているだけで涙腺を刺激されました。よく見ると手に持っている花も散っています。
黒が邪悪の象徴から「諸行無常」「今を生きる」というような思想をぶつけてくる儚げなキャラクターとして生まれ変わった瞬間です。徹底的に明るくするようにデザインされたコンセプトの次元において、黒の新しい側面を見ることが出来た感じですね。
まず厳しいと思いますが、「霊基体」の部族デッキ、それか霊基体のカードを何か中心に据えたデッキを組めるなら組んでみたいです。
今日はここまで。
願わくば、あなたの人生が花開くことを。