【翻訳】今の環境を求めたのは本当にウィザーズなのか?(SCGより)
SCG内部のコラムから、今の環境でバントが選ばれる心理、メタゲームのバランスが不均衡になった原因に対して非常に考えさせられる指摘があったので紹介します。
一部バッサリ省略。原文はこちら。
The SCG Top8: August 1st by Danny West
(翻訳)
★バントカンパニーはボルチモアを優勝しなかった
二日目に53人もいて、トップ8の半分を埋めたのに優勝できない?ダメじゃん。
緑白トークン
(SCGボルチモア優勝)
クリーチャー12
4:《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
4:《森の代言者/Sylvan Advocate》
4:《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》
呪文23
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
4:《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》
2:《進化の飛躍/Evolutionary Leap》
4:《ドロモカの命令/Dromoka's Command》
4:《ニッサの誓い/Oath of Nissa》
2:《石の宣告/Declaration in Stone》
3:《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》
土地25
9:《森/Forest》
7:《平地/Plains》
4:《梢の眺望/Canopy Vista》
4:《要塞化した村/Fortified Village》
1:《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey》
サイドボード15
2:《ラムホルトの平和主義者/Lambholt Pacifist》
2:《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1:《隔離の場/Quarantine Field》
2:《停滞の罠/Stasis Snare》
1:《空への斉射/Aerial Volley》
1:《翼切り/Clip Wings》
2:《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》
2:《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》
2:《石の宣告/Declaration in Stone》
プロツアーのベテランであるOsyp Lebedowiczは、あらゆる意味で明らかに不利で死にデッキだったはずの緑白トークンで、環境全体に衝撃を与えた。
この週末で分かったことは、バントカンパニーはCaw-Bladeや親和じゃなくて、Delverだったという事だ。つまり、このデッキは安全で、たとえ絶対に倒せないデッキではないとしても、プレイする選択を疑う余地は無いということだ。プロツアーでこのデッキの立場は最終的な審判が下されるだろう。
SCGのツアーが拡大するにつれて、プレイヤーには一番安全なデッキをプレイする傾向がある・・・たとえそれがミラーマッチの繰り返しになり、最強のデッキではないとしても。例として、1年近く前、Michael Majorsは、完全に消え去るまでどこでも使われていた緑白大変異でトップになっていた。参加人数が増えているにも関わらず、SCGツアーはスタンダードのステータスとしての扱いはされるが、イノベーションを起こす場になっていない。
★一部にとっては違うようだ。
もしバントカンパニーがこれほど支配的なら、なぜ偉大なプレイヤーたちは一見ゴミ束のようなデッキで上位に上り続けるんだろうか?白黒コントロール、Ali Aintraziのビッグマナデッキ、そして一番喜ばしいが、Cory Dissingerはまるで火星からやって来たような斜め上のデッキを持ち込んだ。彼は準々決勝戦で惜しくも破れたが、それまではトーナメントを誰よりも支配していた。
火星からやって来たような青緑《押し潰す触手》
(SCGボルチモア5位)
クリーチャー18
1:《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
1:《跳ねる混成体/Bounding Krasis》
4:《棲み家の防御者/Den Protector》
1:《エルフの幻想家/Elvish Visionary》
4:《首絞め/Noose Constrictor》
1:《虚空を継ぐもの/Void Grafter》
1:《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
1:《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow》
2:《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》
2:《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》
呪文17
2:《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》
1:《意思の激突/Clash of Wills》
2:《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
3:《ニッサの誓い/Oath of Nissa》
4:《押し潰す触手/Crush of Tentacles》
2:《ニッサの巡礼/Nissa's Pilgrimage》
3:《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
土地25
9:《森/Forest》
4:《島/Island》
2:《荒廃した森林/Blighted Woodland》
2:《進化する未開地/Evolving Wilds》
4:《伐採地の滝/Lumbering Falls》
1:《ならず者の道/Rogue's Passage》
3:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
サイドボード15
4:《死霧の猛禽/Deathmist Raptor》
2:《節くれ木のドライアド/Gnarlwood Dryad》
1:《世界を壊すもの/World Breaker》
2:《空への斉射/Aerial Volley》
1:《意思の激突/Clash of Wills》
2:《否認/Negate》
1:《即時却下/Summary Dismissal》
1:《虚空の粉砕/Void Shatter》
1:《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow》
もしこのフォーマットが絶望的に崩壊していたなら、このような結果は出なかった。しかし見ての通りだ。
《集合した中隊》は強い。異界月の前まで多くのプレイヤーが組み上げてきた強力なデッキだ。しかし多くの先鋭的なデッキビルダーがこの2週間で、決して無敵ではないと証明してきたのだ。
今後のデータで、この環境がどれだけ多様なのか(または多様でないのか)分かるだろう。
★カンパニーを生み出したのは開発のせいなのか?
マジックのデベロップは大変だ。他の完全なデジタルのゲームなら単純にパッチで修正すればよい。しかしマジックはそうじゃない。パックが解放されたら、もう後戻りはできない。
マジックは複雑な相互作用を持つゲームだからこそ、たった一つのミスが巨大なエラーに拡大する恐れがある。《反射魔導士》は構築の使用に耐えるカードではないという判断がされていた記録がある、しかし《集合した中隊》が強すぎる以上、点数で見たマナコストが3以下のカードは全て監視されるべきだった。これこそが、全プレイヤーが《呪文捕らえ》を見た初日から恐れた理由だ。我々はスタンダードを当時のデベロップ以上に理解しているから、《呪文捕らえ》は阿鼻叫喚で迎えられた。
新しいローテーションの計画はこのような問題を解決することは無い。ちょっと短くして、痛みをちょっと増やすだけだ。
《精神の願望》は歴史的レベルで荒廃したカードだ。このカードでプレイヤーは莫大なストームを生み出してフリースペルの雨でゲームに勝つようにデッキを組ませた。《霧縛りの徒党》は(特に《謎めいた命令》と組み合わさって)流れるようにターンを刈り取りゲームを独裁した。《霧縛りの徒党》はある意味4/4で飛行を持つ《精神隷属機》だった。《精神隷属機》は1ターンしか効果が無かったが。
もし《精神の願望》が2マナ軽く、インスタントスピードで使えて、代わりに4枚分の軽い呪文までしか得られないとしたら?それでも強すぎる。(フェアリーのように)受動的にテンポを奪いながら、ほぼ確実に1対4交換が約束されたカードを構えられたら、適切な強さのスタンダードなら簡単に支配してしまう。「3緑」で2枚のパワー2の脅威、《送還》の上位互換、条件付きの打消し?「3緑」でパワー2~3の脅威、《宿命》、プレインズウォーカーに変身する《不屈の自然》?
これは修正主義ではない。後付けの結果論でもない。これが我々の迎えるフォーマットだ。
★・・・我々にも原因があるのでは?
《約束された終末、エムラクール》は強い、強いカードだ。
しかし一部のプロが強さを認め、Ali Aintraziが得意のビッグマナで結果を出すまで、大半のマジックコミュニティ―は無関心に近い評価だった。
プレイヤーのみんなが「いつでも強いカード」以外に関心を持とうともしないなら、R&Dもそれを推し進めざるを得ない。《包囲サイ》は最初の2週間はみんな大興奮だった、そしてフォーマットの害悪になった。《集合した中隊》もまさに同じ道をたどろうとしている。これは我々にも責任がある。
モダンやキューブドラフトにすぐ突っ込めるカード以外をバカにせず、適切な環境でカードを適切に評価するのは我々の役割ではないか。
★かわいそうな青使いたち・・・
市場調査によると、今のようなクリーチャーの戦闘が、昔のぶっ壊れた非クリーチャー呪文のミラーよりも良い。そこは疑いようは無い。
だけど、今はやり過ぎじゃないか?
「2青」呪文一つを対象とし、それを打ち消す。
「1赤赤」土地一つを対象とし、それを破壊する。
昔の呪文をちょっと弱くしたこういう感じの呪文は今の段階でも強すぎるだろうか?今のような複数のカードタイプが墓地にある事がボーナスになり、緑と白が何のデメリットも無しにカードを引ける今、これが本当にスタンダードにとって害悪になるのか?
Shaheen SooraniやAdrian Sullivan(訳注:どちらも青系コントロールを多用)だってプレイヤーだ。しょっぱいティミー勢が賞金を全部持って行ってしまう。悲しい事だ。
★もうスタンダードはたくさんだ!モダンの話をしよう!
SCGニューヨークが数週間後、その次にニュージャージーでもSCGインビテーショナルが開催される。もし「異界月」スタンダードを休みたいなら、「異界月」モダンで参加してみよう!
(翻訳終了)
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