MiniDeckTech:2万円台で組める赤単フェニックスバーン(モダン)
『ラヴニカのギルド』プレビューの段階でほとんど注目されていなくて発売後に人気も値段も大爆発したカードと言えば、真っ先に出て来る1つは《弧光のフェニックス》になるのではないでしょうか?
インスタントかソーサリーを3回唱えたらマナを払わずに墓地から帰って来て、さらに速攻+飛行ですぐ殴りに行ってくれるリターンの速さが印象的。もともと青赤の呪文を連打してシナジーを誘発するアーキタイプは『ラヴニカのギルド』でイゼット団が帰って来る前からリミテッドや単体のカードで何かとサポートされる傾向があるので、そういったデッキが好きなプレイヤーや値上がりを見越してカードを買う人は気付くべきだったとも言えます。
スタンダードでも青単ドレッジやイゼットカラーの呪文連打デッキでメインアタッカーに採用されていますが、モダンでも新しいデッキが入賞を繰り返しています。
サンプルレシピ:赤単バーン
(Gereffi モダン競技リーグ5-0)
※赤字は『ラヴニカのギルド』のカード
クリーチャー12
4:《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》
4:《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》
呪文29
4:《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
1:《炎の突き/Flame Jab》
4:《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《捨て身の儀式/Desperate Ritual》
4:《魔力変/Manamorphose》
4:《苦しめる声/Tormenting Voice》
4:《癇しゃく/Fiery Temper》
土地19
19:《山/Mountain》
サイドボード15
4:《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
3:《はらわた撃ち/Gut Shot》
2:《破壊放題/Shattering Spree》
3:《燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rage》
3:《瘡蓋族の狂戦士/Scab-Clan Berserker》
(リストはMTG Goldfishから翻訳)
デッキ全体がバーンの要素を持ちつつも《弧光のフェニックス》を使いまわすためのシナジーで作られています。ほとんどのカードが4枚積みでシンプルにまとまっていて、見る人が見たら美しいと感じるレシピ。
序盤は《稲妻》、《溶岩の撃ち込み》で相手プレイヤーのライフを直接狙いながら、さらに《信仰無き物あさり》や《苦しめる声》で《弧光のフェニックス》をディスカードします。あとは《弧光のフェニックス》を戦場に戻すためにあらゆる方法で呪文を3回唱えましょう。
《捨て身の儀式》や《魔力変》はマナを残しつつ呪文を唱える回数を増やします。2マナあれば《信仰無き物あさり》で《癇しゃく》を捨てつつマッドネスで唱えて3点。
もし土地が溜まってしまっても《炎の突き》があれば1マナで1回の呪文としてカウント出来るようになります。
手札が無くなってきたところに、《騒乱の歓楽者》がコストを軽減されて登場。新鮮なカードを3枚補充しつつ、最低3/4と除去しづらいサイズで戦闘もこなし、《炎の突き》と合わさってマナフラッドを緩和しつつフェニックスの能力を誘発できる状態を作り直します。
この一連の動きを繰り返して《弧光のフェニックス》を墓地から何度でも戦場に戻して飛行・速攻で相手を殴り続け、相手のライフを削り切ります。追放できない除去に頼るデッキはたまったものじゃ無いですね。
サイドボード
サイドボードはシンプルながら少し珍しいカードが入っています。
《トーモッドの墓所》は同系や流行りのドレッジ対策。0マナなら《虚空の力線》が強力ですが、こういう呪文連打系のデッキは複数カードのシナジーに依存していてカード1枚を失うと一気に動き辛くなるなので、無理にマリガンしないようトップデッキからでも使えるカード選択になっています。
《燃え上がる憤怒の祭殿》は『ミラディンの傷跡』ブロック当時に使っていた懐かしいカードです。メインデッキに入れるにはモダンの速度では悠長なカードですが、序盤に通したら墓地対策を回避しつつ止めを刺す本体火力。元々アーティファクト破壊が入れ辛いデッキなので、相手がコントロールのような遅いデッキならプランBとして十分機能するでしょう。
《瘡蓋族の狂戦士》はマルドゥパイロマンサーに採用される《配分の領事、カンバール》に似た役割を持つカード。一度攻撃を通せば、ストーム、コントロール、同系のような呪文を大量に連打するデッキに対してガンガンライフを削るダメージソースです。
モダンのデッキは全体的にスタンダードより高くトップメタの中には10万円前後かかるデッキも少なくない中、平均的なスタンダードデッキよりも安い2万6千円くらいの値段で揃えられるのでモダンを始めるのにもピッタリ。(ちょっと贅沢出来るならデッキ圧縮に『タルキール覇王譚』のフェッチランドくらいは入るかもしれませんが)
問答無用で相手の顔面を殴って焼く、墓地を利用したシナジーでドレッジ気分を味わいつつ消耗戦に勝つ、と実にモダンらしい動きが詰め込まれています。