【翻訳】最強デッキを使うか、得意なデッキを使うか?(前編)
2018/06/04
勝つためにトップメタをコピーするべきか?それとも君が好きなデッキを使い続ける方が良いのか?人によって考え方が衝突しやすい問いに対し、勝つ事を義務付けられるプロプレイヤーはどんな答えを返すのでしょうか?
Channel Fireballに寄稿を続けるPaulo Vitor Damo Da Rosa選手の回答。
(原文はこちら)
Should You Play the Best Deck, or the One You’re Most Familiar With?(Channel Fireball)
(翻訳)
プレイスタイルを持つという事
君が知っているかは分からないが、僕はマジックのコーチを始めた。新しい人に教えると、この質問は避けて通れない:「一番使い慣れた/好きなデッキを使うべきか?それともベストとされているデッキを使うべきか?」
多くのマジックの質問と同様に、答えは「場合による」だ。
1.君の目標は?
理想を言えば、先ほどの質問に対する答えは「一番強いデッキを使え」になる、なぜなら理想的には、君はあらゆるスタイルのデッキを使いこなし、それが強いデッキを使う利点になるからだ。もちろん現実的には、あらゆるデッキを高いレベルで使える人はいない、しかし一部の人は他よりもそれに近い位置にいる、そして君が近づくための方法はまず手を広げてみる事だ。
例えば、僕の場合だ。僕は今の時点で、あらゆるスタイルのデッキを高いレベルでプレイできている。僕はフェアリーやエスパードラゴンを使うことで知られているが、最近は赤単でプロツアーを制した。僕は長い間異なるスタイルのデッキを使い続けてきたから、イベントの一週間前にデッキを選んだとしても、比較的上手くプレイできると分かっている。だから僕はイベントの直前に見つかったとしても最高のデッキを選ぶことが可能になる。この赤単は過去にプレイした赤単とは違うかもしれない、しかし「赤単」の使い方は心得ている。これはそうでないプレイヤーに対して僕が持っているアドバンテージだ。もしその人がイベントの一週間前に「赤単」を発見しても、マスターする時間はないからだ。
君の目標がマジックのプレイヤーとして成長することなら、君は単純に手を広げる必要がある。君の人生の中でベストデッキが君が好きなデッキではない場合があり、そのデッキを見逃してしまうのは大きな問題だ。もし君が一つのデッキを使い続けるのなら、君はずっとそのままになるサイクルにハマってしまう・・・例えば君がコントロールを使い続けていたら、君はそれまでの知識があるから新しい大会でもコントロールを使い続ける。いつか、君はコントロール100、アグロ0になって、君はどれだけ強くてもアグロを選ぶことは無くなってしまう。
しかし、君の目標が一つのイベントを勝つ事なら、僕は君が使い慣れているスタイルをプレイする事を勧める。今のところ、フォーマットを問わずデッキのパワーレベルは拮抗している、なので最強のデッキではなく3番目に強いデッキを使って失われる勝率は、君がデッキとアーキタイプを理解していることで得られる勝率よりも小さいのだ。デッキを熟知している事は多くの利点があり、君はより多くの状況に対して、既に経験しているから対応が出来る。もし僕が全く使ったことが無いデッキを使っていて、プレイした事が無いデッキを相手にした場合、マリガンもサイドボーディングも困難だ。もし僕が自分のデッキを熟知していたら、僕は相手のデッキと似たようなマッチアップでどう動くかを知っているから、少なくとも何が起こっているかは分かるのだ。
だから、短期的な目標ならば、一番良いプランは君が知っているデッキを続ける事だ。しかし長期的な計画があるなら、君は手を広げてその時その時で一番いいのをプレイしないといけない。実際には、僕はオフの時期には異なるデッキを使うようにしている。例えば、もし僕がグランプリに向けてテストをしていたら、僕は全ての時間を一つのデッキをマスターするために使う、そしてそれはおそらく僕にとってなじみのあるスタイルになるだろう、なぜならそれがそのトーナメントでは一番上手く行く可能性が高いと思っているからだ。しかし、特に何かのテストをするのではなく単にMOのリーグやFNMに突っ込むだけならば、異なるデッキを使うだろう。
もう一つ君が出来る事は、テストの最初の方で異なるデッキを試すことだ。例えば、僕は赤単のプレイヤーで4週間の準備期間があると想像して欲しい。最初にやる事はもし赤単が機能するかだ。強いけど素晴らしくはないと分かったとする、プレイできるけれどベストデッキではなく少なくとも他のデッキより明らかに強くはない。
この過程に時間を賭けてはいけない、最長でも2~3日だ。それでどうなる?では、僕が自分の赤単のスキルを完璧に仕上げるのにどれぐらいかかるだろうか?多分4週間ではない。ずっと使い続けてきた。だから僕は最初の1~2週間を異なるデッキをプレイするために使う、それはもし他よりも強いデッキを見つけたら、まだ上手くなる時間が残されているからだ。もし2週間以内に見つけることが出来なかったら、僕は赤単に戻って、残りの2週間もあればその構築をマスターするのには十分だろう、そのアーキタイプを熟知しているからだ。もし最初の時間を全部赤単に費やしていたら、3週間目か4週間目に凄いデッキを見つけてもプレイする時間は無い。これを続けていたら、将来的に他のスタイルのデッキも熟練するようになるかもしれない。
こんな目標もあるだろう:君は人々の注目を集めたい。もしそうならば、デッキを選んであらゆる大会で使い続ける方が君のためになるかもしれない、なぜならその方がいい話になるからだ。みんなCraig Wescoeが白ウィニーの人だと知っているし、Wafo-Tapaや八十岡翔太がコントロール使いだと知っている、などなど。僕は殆どの人にはお勧めしないけど、もし君が特に有名になりたい(例えば君はライティングに興味があるから)のであれば、君のニッチを見つける事は手段になり得る。
2.君のデッキはどれだけ弱いのか?
ある環境は明確なベストデッキが存在し、ある環境はより開かれている。僕が1で書いたことは君のデッキが少なくともメタゲームで戦えるという前提だ。もしそのデッキが格別に酷いなら、君がどれだけデッキに精通していても、プレイしてはいけない。デッキの強さかメタゲーム上の位置が1~10まであり、もしプレイヤーがそのデッキを0%から100%の中でプレイできるとしたら、50%プレイできる9のデッキの方が100%プレイできる3のデッキよりも良い。
Guillaume Wafo-Tapaを例にしよう(知らない人のために、彼は八十岡翔太をさらに極端にしたコントロール使いだ)。彼はある日フォイルの《謎めいた命令》を4枚買った、そしてその元を取ることを決めた。彼はその後あらゆるイベントで《謎めいた命令》をプレイした。冗談抜きで《謎めいた命令》がリーガルな環境で彼が使っていないデッキを見つけられるなら見つけてくれ。そしてご存知の通りそれは上手く行った・・・《謎めいた命令》はスタンダードで使えた時は本当に強力で、それを採用していたデッキは本当に強かった。何年もの間、Wafo-Tapaは世界一強いプレイヤーの一人だった。
そして《謎めいた命令》がローテーション落ちした。他のコントロールカードも落ちた。それでもWafo-Tapaはコントロールを使い続けた、コントロールがローテーション後に明らかに推されていないアーキタイプなのにだ。みんな4ターン目にお互いを殺し合っているのに、Wafo-Tapaは4マナをタップして《ふるい分け》を唱えていた。《ふるい分け》が何をするか知っているか?これはカルトーシュをプレイしても戻ってこない《知識の試練》みたいなものだ。酷いカードだ。Wafo-Tapaは何度も何度も負けて、彼は流れから転がり落ちるまでコントロールを使うのを辞めなかった。
Wafo-Tapaはコントロールの達人だ、彼は世界一かも知れない。彼は間違いなく100%のレベルでプレイできる。しかしそのメタゲームでは、コントロールの強さは1で、1の100%は1だ。彼はもっと強いデッキを使っていれば成功していた、たとえコントロールよりもずっと使いこなせなくてもだ。僕も似たような事をしていた時期があった、他のデッキより明らかに強くないのにエスパーコントロールを使っていた。君が使っているカードは他のみんなが使っているカードよりも弱いと気付いたら、諦める時なんだ。
(翻訳ここまで)
長くなったので一旦切ります。後編はこちら。