MTGと政治:私は過労死を増やす高度プロフェッショナル制度に反対します
2018/05/22
(※注意!一部の人々にとって不快な政治関連の内容です!)
MTGをやっているプレイヤーの多くは、どこかの企業で働いていると思います。プロプレイヤーでもない限り、皆さんは働いてからお金を稼いで、その収入と余暇を使ってゲームをしているはずです。MTGはお金と時間のかかるゲームですからね。
ですが、今皆様のプライベートが無くなり延々と働かせられる生活をさせられる危険が迫っています。前に似たような記事をこのブログで読んだことがある方々は、基本的に同じような内容になりますが、こんな記事は初めてという方はどうか一度目を通していただけたらと思います。
今週に採決される可能性の高い「働き方改革関連法案」の中に組み込まれている通称「高度プロフェッショナル制度」は、働く人たちを守るルールを崩壊させ、いくら過労死しても自己責任扱いとなり、企業はお咎め無しにしてしまう恐ろしい仕組みです。
もしこの法案が今のまま採決されたら、皆さんが好きな事も家族や友達と過ごす事も何もできず、ただ死ぬまで企業で働き続けるだけの生活に追いこまれる危険が発生します。
「高度プロフェッショナル制度」とは?
この制度は金融関係者や研究者などの高度な専門職を想定し、政省令で定める平均給与額の3倍を上回る年収の労働者(年収1075万円以上)を対象に労働基準法の一部が適用除外となり、残業代だけでなく深夜や休日出勤の割増賃金、労働時間・仕事中の休憩を含む労働時間の規制を無視して良いとする制度です。
これは元々第一次安倍政権が提唱した「ホワイトカラーエグゼンプション」の名前を変えて、罰則付き労働時間制限などの労働者にメリットがある働き方改革に紛れ込ませて成立させようとしているものです。
なぜ危険なのか?
今の労働基準法では労働時間を1日8時間、それ以上は残業代がプラスされた賃金を支払うようになっています。それは働く皆さんが過労死をしないように、歯止めをかけるためです。
もし時間による規制や労働時間に比例した残業代が無ければ、企業は従業員が帰れなくなろうが健康を損ねようが際限なく仕事を増やすようになります。その方がコストカットでお得になり、他の企業や自営業の方々も値下げ競争のため後追いせざるを得なくなります。そうやってあらゆる企業がブラック企業に早変わりです。
しかし高度プロフェッショナル制度が適用されてしまうと、残業代の支払いが無くなり、固定された定額の給料で何時間でも働かせられるという残業代ゼロを超えた「定額働かせ放題休みゼロ」が合法になります。
いちおう「健康確保措置」というのも義務付けられていますが、いくつかの緩い選択肢の中から1個選ぶだけで終わり罰則もありません。例えば年間5日間さえ有給休暇をとらせれば、毎日16時間勤務、360日連続勤務も合法になります。または4週間のうち4日休みを出せば24時間働かせても合法です。
年収1075万以下も無関係ではない
安倍首相は年収1,000万円を超えるような労働者なら交渉力があり、過労死するようなことにはならないと主張しています。しかし実際のプランはまず限られた範囲で採決してから、徐々に対象を拡大する事。こうして「小さく産んで大きく育てる」というのは元厚生労働大臣が発言したものです。
企業の側から政府に政策の要望を出す経団連は年収400万円からの適用を求めています。そこまで下げられたらもうほとんどの社会人が対象になってしまいます。
現時点で年収1075万円以上の労働者に自民党が適用しようとしている所謂「高プロ」は、経団連が年収400万円まで拡大したいと既に表明している制度です。つまり、派遣法のようにジワジワと適用対象を拡大され、殆どの労働者は定額の給与で24時間働かせても合法扱いにされる危険性がある訳です。 pic.twitter.com/2dQeGloXRg
— 異邦人 (@Beriozka1917) May 15, 2018
そんなことが出来る訳がないと思うでしょう。しかし労働者派遣法も最初はごく限られた範囲で成立してから徐々に法案を修正して対象を拡大し、今では原則自由になっています。そしてあらゆる業界で不安定な働き方やピンハネによる低賃金で苦しむ労働者が増えています。
さらに、この対象範囲となる1075万円は残業代込みの見込み額です。これがどうなるかというと、下記の通り。
すると、単純に時給1716円の労働者となり、労基法の労働時間規制で許される労働時間、すなわち現在の適法状態の労働条件で計算し直すと年収357万7860円になってしまうんです」
引用元:強行採決されそうな「高度プロフェッショナル制度」は、一億総ブラック企業従業員にする欠陥制度
理論上は年収の範囲を下げなくても残業無しの基本給358万から、高度プロフェッショナル制度を適用出来てしまうのです。
「時間ではなく成果で支払われる」は嘘
読売新聞などはこの制度を「脱時間給」と呼んで成果主義に結び付けようとしています。一見すると時間に縛られた働き方から解放されて、速く仕事が終わったら早く帰れる、ダラダラ残業が無くなる制度に見えるかもしれません。
しかし、それは完全にデマです。現状でも成果主義として賃金を支払うことは普通に可能です。高度プロフェッショナル制度には成果で賃金を支払うなんて一言も書いてありません。
裁量労働制にように働く側で労働時間を決められるわけでもありません。ただただ企業側が好き勝手に働かせて良くなるだけの制度なのです。
MTGが出来る生活を続けるために
ここがMTGのブログであるにも関わらずこのような事を何回も書いてるのは、本当に危機感があるから。そして1人でも多く、このブログを読んでくださる1日何千人もの読者の皆様に伝えたいからです。
管理人は実際にブラック企業で自殺寸前に追い詰められた経験があります。それに実際にそういう企業で働いていたら仕事上の責任感や他の人の迷惑をかけたくないという感情から自らサービス残業をする空気になるのです。
「ブラック企業を辞めたら良い」「断れば良い」という考えもあるでしょう。しかし自分や家族の生活がかかっていたら簡単には辞められませんし、日本のシステム上新卒以外の再就職は決して簡単ではありません。
仮に優れた能力があり転職活動をする余裕や貯金があったとしても、法律がユルユルになればコスト競争で業界や日本全体がブラック企業だけになってしまうのです。そうなってはもはや自己責任でも解決できません。
現実は今の法律も守られてなくて過労死が後を絶ちませんが、それでも弁護士を通じて法で訴えれば何とか踏みとどまれます。そこにわざわざ法の抜け穴や逃げ道を増やしたらどうなるでしょうか?
ほどほどの時間で仕事から帰ってきちんと休みが取れて、平日の夜にMOをやったり、フライデーナイトマジックに出たり、週末にはPPTQやグランプリで頂点を目指す、そんな生活。
キリが無いくらい増えた仕事が終わらなくて、何十時間たっても帰れず体が弱って過労死する、そんな生活。
皆様はどちらの生活が良いでしょうか?前者のMTGが出来る生活を望むなら、高度プロフェッショナル制度は絶対に賛成出来ません。
今私たちに出来る3つの事
・法案への反対を呼びかける
仕事や予定がありますし直接デモなんかに行くのは難しいでしょう。ですが、どうか皆様の声が届く範囲の方々に「こんな危険な法案が作られる」という事を知らせてください。
直接家族や友人や職場の人に政治の話を持ち込むのも言いづらいと思います。皆様が使っているツイッターやfacebookのようなSNSで反対の声を上げてください。必ず多くの人たちに繋がります。
ですが管理人は悲観的で、賛成派で国会の議席の過半数が埋まっている以上採決の可能性も十分にあると考えています。なのでその後に取って欲しい行動も書いておきます。
・自民党、公明党、日本維新の会、希望の党に反対を続ける
働き方改革という皮を被った過労死を合法化する法案を推進しているのは自民党、公明党、日本維新の会、希望の党の4党です。過労死の心配が無い健康な生活を望むなら、選挙のたびに何度でも反対票を入れ続けて、これらの政党を政権から追い出さなければいけません。
「野党は批判ばかりで対案が無い」という人もいますが、野党の中でも立憲民主党、国民民主党、共産党は既に対案を出しています。「高度プロフェッショナル制度」を削除し、純粋に働く人の健康を守ることを重視する改善案です。
働き方改革について各党の対案が出揃ったので表にしてみました。 pic.twitter.com/e6mTdDJoa2
— 森村廣 (@hiromu_morimura) May 14, 2018
もし働き方改革が採決されても、選挙のたびにこういう政党を支持して与党にすることで、働く人たちの環境を法律の規制を通じて改善しましょう!
・「高度プロフェッショナル制度」に勇気を出してノーと言う
法案では労働者側の同意が無ければ制度は適用できなくなっています。また一度同意しても本人の意思で解除できるという修正案も出るようですので、企業側から制度の適用を求められても断る意志をハッキリ表明することが重要です。
そうなれば企業側は解雇しようとしたり、不当に年収を下げる閑職や追い出し部屋に移したり左遷したりと嫌がらせを仕掛けてくる可能性があります。そうなったら労働問題への関心が熱い弁護士や、労働組合(企業に無ければ外の団体もあります)の力を借りて立ち向かうべきです。泣き寝入りは最悪の選択です。
最後に
私は・・・管理人シグマは、正当な対価が支払われず、自分の時間が全く存在しないような働き方をもう二度とやりたくありません。
それを可能にするような一切の法案に反対をします。
そしてそんな政策を推進しようとする政党や政治家は、たとえ他のどんな政策で賛成できても、絶対に絶対に支持しません。
最後までお読みいただいてありがとうございます。賛同する方々は、どうか皆様の声を周りに届けてください。