MiniDechTech:GPを制したSimon Nielsenの赤黒機体(スタンダード)
自分で簡単なデッキ紹介を書く時にも毎回ノリでタイトル考えるのが面倒臭くなり、不定期シリーズとしてMiniDeckDech(ミニデッキテク)という名前を付ける事にしました。
ここ最近あまりスタンダードのメタを追いかけていませんでしたが、先週イギリスはバーミンガムで行われたグランプリでは、このブログとちょっとだけ縁の深い個人的にファンであるプレイヤーが優勝していたので、第1回として特別な思いと共に紹介。
Simon Nielsen選手はデンマーク出身のプロプレイヤーで、mtgmintcard.comで記事を書き続けています。その中でも特に管理人が衝撃を受けて翻訳し、恐ろしいほどの反響が出たのがこの記事でした。
(参考)
【翻訳】ベストデッキも使わないで何言い訳してるの?
これは1年たった今でもたまにシェアされるだけでなく、MTG以外のトッププレイヤーにも紹介される事があります。この記事を見てから自分のMTGとの向き合い方が変わり、考え方が大きくスパイク寄りになると同時に「別にコピーデッキでも良いんだ」と気持ちが楽になりました。そんなわけで彼は自分にとって本当の意味でガイドラインとなる存在です。
さて、前置きはこの位にしてそろそろデッキの方に行きましょう。
黒赤ミラーブレイカー
(Simon Nielsen、グランプリバーミンガム優勝)
土地25
1《霊気拠点/Aether Hub》
4《泥濘の峡谷/Canyon Slough》
2《燃え殻の痩せ地/Cinder Barrens》
4《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
11《山/Mountain》
2《産業の塔/Spire of Industry》
1《沼/Swamp》
クリーチャー19
2《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
4《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》
2《ピア・ナラー/Pia Nalaar》
2《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》
4《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
3《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》
2《歩行バリスタ/Walking Ballista》
呪文16
4《削剥/Abrade》
2《マグマのしぶき/Magma Spray》
3《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》
3《キランの真意号/Heart of Kiran》
2《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
2《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
サイドボード15
1《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
2《チャンドラの敗北/Chandra's Defeat》
1《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》
1《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》
1《木端+微塵/Cut // Ribbons》
1《大災厄/Doomfall》
3《強迫/Duress》
1《無情な略奪/Heartless Pillage》
1《グレムリン解放/Release the Gremlins》
1《炎鎖のアングラス/Angrath, the Flame-Chained》
1《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
1《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
デッキ名は彼がトップ8プロフィールの質問で答えたもの。文字通りミラーマッチを意識した赤黒機体です。
ドミナリア前は《スカラベの神》が支配していたスタンダードでしたが、現在は青黒やグリクシスカラーのデッキは姿を消し、最強の単体除去の座は《致命的なひと押し》から白の《封じ込め》に変わりました。
ここに突き刺さるのが《キランの真意号》。警戒を持っているのでタップ状態にならず《封じ込め》に序盤の除去を頼る青白コントロールや緑白ミッドレンジのようなデッキは着地したら対処に困りそうです。
さらにカラデシュブロックが登場した時から活躍してきた、墓地から何度でも戻ってくる《屑鉄場のたかり屋》。同じく追放しなければ墓地から何度でも戻ってくる《再燃するフェニックス》。
《排斥》か《ヴラスカの侮辱》が無いと除去できないプレインズウォーカーの《反逆の先導者、チャンドラ》と《ウルザの後継、カーン》。特にカーンはアーティファクトがいろいろ入っているデッキなので、モダンの親和ほどじゃないにしても-2のトークン生成が脅威に。ちょっと固めの相手に選択権があるドローエンジンから、真のパワーカードに成長しています。
こんな感じで、とにかくありとあらゆる角度から相手を攻めるように組まれていて、対処の方法が異なる脅威を全部対策仕切るのは困難。まさにベストデッキの風格を感じさせます。
このグランプリはトップ8中このリストを含めて6人が黒赤機体という結果になっていますが、このリストと他の大半との違いは《ボーマットの急使》が0枚まで減らされたことでしょう。環境に《ゴブリンの鎖回し》や《歩行バリスタ》が増えているためタフネス1が生き残りにくいメタゲームを意識しています。
さらに《削剝》が4枚と同系の機体やバリスタをいつでも破壊できるようになっています。ついでに《王神の贈り物》を確実に対処できるのでマッチしていればイージーウィンもあったかも。
対策が困難な強い戦術を採用し、さらにネクストレベルへと調整して頂点に上り詰めたNielsen選手らしいデッキです。
ちょうどこの記事を書いていた途中で、公式にも津村プロによる「先取り!スタンダード・アナライズ」が更新されました。スタンダードで組みたいデッキが出てこないという方は、とりあえずこの中のデッキを試すのが良いでしょう。
このまま同系デッキがトップメタを維持するのか、別のデッキが食い荒らして頂点にのし上がるのか、まだまだ分かりません。