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無名の黒好きプレイヤーによるMTG記事の翻訳中心ブログです。ほとんどモダン。

【翻訳】チャレンジャーデッキの評価とお手軽改良プラン(CFB)

   

マジックを始めたばかりの方、復帰したての方にとって最高のアイテム、チャレンジャーデッキが発売されました。既にこれを手に取って遊んでいる人も多いでしょう。実際にスタンダードで使われている同系のデッキに近づけるための最初のステップとして、簡単な調整プランを紹介している記事を翻訳してみました。

(原文はこちら)

What’s the Best Challenger Deck, and What Are the First Upgrades?(Channel Fireball)

(翻訳)

4月6日にチャレンジャーデッキが発売される。見たところこれは新規プレイヤーや復帰組にとってスタンダード(最も広くプレイされている構築フォーマットだ)に手を出しやすくなる素晴らしい賞品だと思う。

今までは、もしそんなプレイヤーが地元のショップに行って今日のフライデーナイトマジックに参加できるようなセットが無いか聞かれても、彼らにとって良い選択肢が無かった。プレインズウォーカーデッキ、バンドル品、デッキビルダーボックスではすぐに競技レベルで戦えるスタンダードデッキにはならない、そしてインターネットでデッキを調べてそれぞれのカードをシングルで集めるのは気が遠くなるような高いハードルだ

ようやく、お手頃で、競技に勝てる、箱を開けてすぐに遊べるものが登場したんだ。君はイベントが始まる10分前に75枚のデッキを買って、参加登録して、申し分ない戦いが出来る。それぞれのチャレンジャーデッキはスタンダードで成功したアーキタイプの一般的な形からほんの数枚のカードの違いしかない。

異なるプレイスタイルに合わせた4つのチャレンジャーデッキがある。この記事では、それぞれを紹介して最初にデッキを強化するためのアドバイスを贈ろうと思う。

デッキを強化するという話だが、全てのレアと神話レアを揃えた一般的な構築は新規プレイヤーの予算では手が出ないかもしれないと気付いた。代わりに、私はチャレンジャーデッキを買って、プレイした感触を気に入って、25ドルで(4月2日時点のChannel Fireballストアの価格)デッキを改良したいと思ったプレイヤーという視点を想定する。君の予算に対して最も効率良く強化できるようにアドバイスを調整した。

ハゾレトアグロ

(以下、デッキ画像とデッキリストは日本語公式サイトから引用)

土地24
20 《山》
4 《陽焼けした砂漠》
クリーチャー23
4 《ボーマットの急使》
4 《狂信的扇動者》
3 《損魂魔道士》
3 《過酷な指導者》
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4 《アン一門の壊し屋》
1 《熱烈の神ハゾレト》
1 《栄光をもたらすもの》
呪文13
4 《ショック》
2 《マグマのしぶき》
4 《稲妻の一撃》
2 《削剥》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
サイドボード15
2 《ピア・ナラー》
4 《チャンドラの敗北》
3 《歩哨のトーテム像》
2 《マグマのしぶき》
2 《街の鍵》
2 《カーリ・ゼヴの巧技》

このデッキの完成形はここで見られる。

誰にオススメ?

これは純粋なアグロデッキでゲームプランはシンプルだ:小さなクリーチャーでゲームを開始し、素早く相手のライフを減らし、火力呪文(訳注:「ダメージを与える」と書かれた呪文)でゲームを終わらせるんだ。最適なプレイをするのは簡単ではないけど、ゲームプランが分かりやすく、新規プレイヤーがプレイするのにハゾレトアグロは良い選択肢だ。

しかも、4つのチャレンジャーデッキの中で、ハゾレトアグロは一般的なリストに最も近く、スタンダードで最も成功したアーキタイプだ。なので、勝つ事が目標であるプレイヤーにも良い出発点になるだろう。

スタンダードのローテーション後の価値は?

9月下旬から10月上旬にかけての秋のセットが発売されると、カラデシュとアモンケットブロックはスタン落ちする。ハゾレトアグロの中でローテーションの後もスタンダードで使えるカードは《狂信的扇動者》4枚、《稲妻の一撃》4枚、《歩哨のトーテム像》4枚だけだ。

しかし2枚の《削剝》、《熱烈の神ハゾレト》、《反逆の先導者、チャンドラ》はどれもモダンでいくらか使われている。モダンでの需要があるから、特に2枚の神話レアに関してはローテーション後も値段をある程度維持するだろう。

このデッキの問題点は?

全体的にこのデッキは良く構築されているが、2つの小さな問題点がある。まず、マナカーブが土地24枚のデッキにしては低すぎる。マナを喰うカードはほとんど無いし、このデッキは今のところ終盤にマナ使う方法が無い。

次に、1マナの火力が6枚もあるのはちょっと多すぎで、脅威の数が少し足りない。全体的にデッキに入っているカードが与えるインパクトが平均すると弱すぎるのだ。私はメインデッキにある2枚の《マグマのしぶき》をサイドボードにある2枚の《ピア・ナラー》と入れ替えるだけでもより良くプレイできると思う。しかしカードを足せばさらに良くなるだろう。

25ドルで出来る一番良い強化は?

-2 過酷な指導者
-2 マグマのしぶき

+3 地揺すりのケンラ
+1 熱烈の神ハゾレト

デッキ名のカードは高いので1枚しか足せない。それでも、《地揺すりのケンラ》を3枚足せば私が先ほど話した問題を解決できる。ローテーション後は《地揺すりのケンラ》は価値を失うけれど、比較的安く、《ボーマットの急使》の後に続く完璧なカードであり、マナフラッドの保険になる。

機体ラッシュ

土地24
3 《山》
5 《平地》
1 《沼》
1 《感動的な眺望所》
1 《竜髑髏の山頂》
1 《秘密の中庭》
4 《産業の塔》
3 《霊気拠点》
3 《手付かずの領土》
2 《進化する未開地》
クリーチャー21
4 《ボーマットの急使》
4 《模範的な造り手》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《経験豊富な操縦者》
3 《模範操縦士、デパラ》
2 《ピア・ナラー》
呪文15
4 《稲妻の一撃》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《耕作者の荷馬車》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
サイドボード15
3 《過酷な指導者》
4 《強迫》
2 《チャンドラの敗北》
2 《マグマのしぶき》
2 《没収の曲杖》
1 《排斥》
1 《霊気圏の収集艇》

このデッキの完成形はここで見られる。

誰にオススメ?

もしモダンの親和が好きなら、このシナジー重視のアグロデッキはまさに君のためのデッキかもしれない。ハゾレトアグロのそれぞれのカードは単体で強いが、機体ラッシュのカードの多くは輝くために他のカードが必要だ。例えば、《模範的な作り手》、《模範操縦士、デパラ》、《無許可の分解》は《キランの真意号》があればずっと強くなる。私から見ると、こういう相互作用がこのデッキをハゾレトアグロよりも楽しく、やり甲斐があり、強力なデッキにしている。

スタンダードのローテーション後の価値は?

ローテーション後にスタンダードでも使えるのは《稲妻の一撃》4枚、《手付かずの領土》3枚、《進化する未開地》2枚、《竜髑髏の山頂》1枚、《強迫》4枚だ。《竜髑髏の山頂》のようなレアの2色土地はいつ持ってても嬉しい。そしてモダンで使われるカードもかなりある:《産業の塔》4枚、《手付かずの領土》3枚、《感動的な眺望所》1枚、《秘密の中庭》1枚だ。このデッキのマナベースはローテーション後も価値を残すだろう。

このデッキの問題点は?

個人的にマルドゥ機体は18カ月間プレイを楽しんできたから、4枚の《模範的な作り手》と《キランの真意号》がチャレンジャーデッキにあるのは嬉しい。しかしマナベースを見た時に私の心は沈んでしまった:《感動的な眺望所》と《秘密の中庭》は1枚ずつしかない。これらの土地は赤マナや黒マナ源を増やしつつ1ターン目に《模範的な作り手》を唱える助けになるので必須だった。私はこれらが4枚ずつないとデッキが適切に動かないと思った。

しかしさらに調べてみると、私の印象は間違っていたことが分かった。このデッキが《残骸の漂着》のような白のダブルシンボルを要求するサイドボードカードを抜いていることで、《手付かずの領土》が理想的なマナ修正になっている。全ての白い呪文(サイドに1枚の《排斥》を除く)がドワーフなので、《手付かずの領土》は実質《平地》で時々《経験豊富な操縦者》《ピア・ナラー》を唱えるためのマナを修正してくれる。このデッキのマナベースは13枚の1ターン目に出せる白マナ源、加えてクリーチャー以外の呪文を唱えるための15枚の赤マナ源と13枚の黒マナ源が含まれている。これは《霊気拠点》と《進化する未開地》を信頼できる5色地形として過剰に楽観視して数えている場合でマナベースは改善の余地があるが、箱から開けてすぐプレイする分には驚くほど許容できる出来になっている。

25ドルで出来る一番良い強化は?

-1 霊気拠点
-2 進化する未開地
-1 平地

+2 感動的な眺望所
+2 秘密の中庭

3色デッキなので、マナベースが成功のポイントになる。ファストランドは間違いなくデッキを改善するだろう。これらは秋にスタンダードから退場してしまうが、モダンで使われているので価値を残すだろう。

怒涛カウンター

土地25
8 《沼》
7 《森》
4 《穢れた果樹園》
4 《霊気拠点》
2 《ハシェプのオアシス》
クリーチャー26
4 《光袖会の収集者》
4 《牙長獣の仔》
4 《巻きつき蛇》
2 《屑鉄場のたかり屋》
1 《歩行バリスタ》
3 《夢盗人》
3 《ピーマの改革派、リシュカー》
2 《豪華の王、ゴンティ》
3 《新緑の機械巨人》
呪文9
4 《顕在的防御》
1 《致命的な一押し》
2 《板歩きの刑》
2 《栄光の刻》
サイドボード15
4 《強迫》
2 《短命》
3 《野望のカルトーシュ》
2 《人工物への興味》
2 《造命師の動物記》
1 《没収》
1 《真っ二つ》

このデッキの完成形はここで見られる。

誰にオススメ?

このデッキは戦場で一番デカいクリーチャーを手に入れたいプレイヤーのためのデッキだ。またアグロ相手にはコントロール、コントロール相手にはアグロの役割を柔軟に切り替えられるミッドレンジ戦術が好きなプレイヤーにも最適になっている。

このデッキは《巻き付き蛇》を中心に組まれている。蛇は《光袖会の収集者》が手に入れたエネルギーを倍増して、《ピーマの改革派、リシュカー》が配ったカウンターを2倍にして、《新緑の機械巨人》が対象に取ったクリーチャー全てに追加のカウンターを乗せる。

スタンダードのローテーション後の価値は?

ローテーション後もスタンダードリーガルなのは《板歩きの刑》2枚、《穢れた果樹園》4枚、《強迫》4枚、《真っ二つ》1枚だけだ。どれも基本的に値はつかない。しかし《顕在的防御》4枚、《致命的なひと押し》1枚、そして《歩行バリスタ》1枚はどれもモダンで使われている。後者の2枚は特にローテーション後もかなりの値段を維持するだろう。

このデッキの問題点は?

このリストはスタンダードで成功している黒緑巻き付き蛇のリストからかなりカードを削除されている。私は《栄光の刻》が安い《ヴラスカの侮辱》、《穢れた果樹園》が安い《花盛りの湿地》として入っているのは気にしない、しかしクリーチャーの基盤はいくつかの問題がある。第1に、4枚の《歩行バリスタ》が無ければ《巻き付き蛇》、リシュカー、《新緑の機械巨人》の価値は低い。第2に、《霊気との調和》が無ければ《逆毛ハイドラ》、《導路の召使い》、《牙長獣の仔》は比較的弱くなる。第3に、私は《夢盗人》と《屑鉄場のたかり屋》のような攻撃一辺倒のカードよりも《翡翠光のレインジャー》《マーフォークの枝渡り》のようなブロッカーになれるものを採用したい。

しかし、2番目と3番目の問題を解決するには多くの変更が必要で、しかも同時にやらないといけない。半分探検、半分アグロのような半端なデッキはあまりにも焦点が定まっていない。そしてアグロプランは完全には悪くない、なぜなら《牙長獣の仔》の存在が《ピーマの改革派、リシュカー》と《顕在的防御》を良くしているからだ。

25ドルで出来る一番良い強化は?

-1 夢盗人
-1 屑鉄場のたかり屋

+2 歩行バリスタ

少し予算オーバーしているが、《歩行バリスタ》は足りてない最も重要なパーツである。また、モダンでたくさん使われているから、悪くない投資だ。

副陽コントロール

土地26
10 《島》
8 《平地》
4 《灌漑農地》
2 《イプヌの細流》
2 《廃墟の地》
クリーチャー1
1 《周到の神ケフネト》
呪文33
4 《選択》
4 《霊気溶融》
4 《検閲》
4 《至高の意志》
1 《新たな信仰》
4 《排斥》
4 《天才の片鱗》
1 《残骸の漂着》
3 《燻蒸》
3 《副陽の接近》
1 《農場+市場》
サイドボード15
1 《周到の神ケフネト》
4 《威厳あるカラカル》
2 《象形の守り手》
2 《呪文貫き》
4 《否認》
2 《新たな信仰》

このデッキの完成形はここで見られる。

誰にオススメ?

このデッキはコントロールを楽しみたいプレイヤー向けだ。プランは相手のあらゆる脅威を無力化し、ゲームを長引かせて、最終的に《副陽の接近》を2回解決する。その間、君は何を打ち消し、どれを解決させ、君の除去でなにを対象に取るか、多くの選択を強いられる。サイドボーディングもトリッキーだ:対戦相手が一見死に札になったクリーチャー除去をゲーム2にサイドアウトしたら、君は変形クリーチャープランで相手を驚かせることだ出来る。これらの複雑な要素があるから、私は本当に初めてゲームをやるプレイヤーにはこのデッキを勧めない。

スタンダードのローテーション後の価値は?

ローテーション後もスタンダードリーガルなのは《選択》4枚、《残骸の漂着》1枚、《廃墟の地》2枚、《否認》4枚、《呪文貫き》4枚だ。《残骸の漂着》という有力なレアが残るのは素晴らしい・・・これはモダンでもプレイされている。さらに、4枚の《選択》、2枚の《廃墟の地》もモダンで人気のカードだ。しかし全体的にはあまり価値は残らないだろう。

このデッキの問題点は?

マナベースは《氷河の城塞》が欠けている、しかしこのアーキタイプで定番の《不許可》を抜いていることでマナの安定性という課題は回避されている。それでも、「2白白」という呪文がデッキに入っているから、少なくとも半分の土地は白マナを生み出せる必要がある、そしてこのデッキはそうなっていない。簡単な修正は《島》を1枚削って《平地》を足すことだ。

《周到の神ケフネト》はあまり盛り上がらない神話レアで、特に相手の《ヴラスカの侮辱》や《排斥》の良い的になってしまう。たぶん対応して《灌漑農地》を回収することは出来るが、それでも《奔流の機械巨人》より弱いだろう。

《霊気溶融》は《光袖会の収集者》、《翡翠光のレインジャー》、《ボーマットの急使》のようなよく使われているクリーチャーに対する回答としては酷い。《不可解な終焉》の方がまだ良いくらいだが、《本質の散乱》が一番良い代わりになる。

25ドルで出来る一番良い強化は?

-1 霊気溶融
-1 島
-2 選択

+1 アズカンタの探索
+1 残骸の漂着
+1 平地
+1 本質の散乱

《アズカンタの探索》は単体でドローエンジンになり、《残骸の漂着》は《スカラベの神》と《再燃するフェニックス》がいる世界では必要なカードだ。また、どちらもモダンで使われているから長期的な視点に立った買い物としても悪くない。

まとめ

これはウィザーズの素晴らしい行動だ。どのチャレンジャーデッキも競技で使われている一般的な構築、または成功したアーキタイプから少しのカードをずらしただけなので、スタンダードに飛び乗るには最高だ。

私は個人的にハゾレトアグロと機体ラッシュのデッキを持っているが、自分のカードの価値が下がることは悪く思っていない。スタンダードのカードはローテーションが近づけば必ず価値が下がるから、たとえチャレンジャーデッキがそれを早めたとしても、スタンダードの敷居を下げるためなら安いものだ。

チャレンジャーデッキは長い目で見れば流通市場を阻害しすぎる事は無いと思っている。みんなが求めるレアや神話レアまで入っているが、その大半がカラデシュやアモンケットブロックからだ。この二つのブロックは9月下旬か10月上旬の秋のセット発売と同時にローテーション落ちするから、チャレンジャーデッキを使える時期は6か月だけだ。どのチャレンジャーデッキもある程度の価値はいじするけれど、それほどモダンでプレイアブルなカードは含まれていないから、みんながすぐにデッキを解体する方にも向かわないだろう。例えば怒涛カウンターでは《歩行バリスタ》が1枚と《致命的なひと押し》が1枚だけ・・・良いバランス調整だ。

デッキの強さ、金銭的な価値、新しいプレイヤーへの適正を考えたら、この中ではハゾレトアグロが一番良いから、需要も一番高いと思われる。しかし最終的に4つのデッキはどれも競技で戦える。ウィザーズはこの構築で素晴らしい仕事をした、もし君がスタンダードに挑戦したいなら、とにかくこの中から君のプレイスタイルや楽しみ方に合ったものを選ぶべきだ。グッドラック!

(翻訳ここまで)

この記事を読む頃には、もしかするとチャレンジャーデッキはどこを探しても完全に売り切れになってるかもしれません。それだけ凄い、本当に凄いセットだからです。

その時は、もしあなたがゲームに慣れてないうちは、チャレンジャーデッキのリストや、その下のリンク先に用意した晴れる屋のデッキ検索を真似してカードを集めるか、経験者に用意してもらうのが良いです。いきなり自分でデッキを作るよりは、まず他の上手い人の勝ったデッキをコピーしてゲームの雰囲気をつかみましょう。

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