【翻訳】SCGから、エターナルマスターズの良い所、悪い所、クソな所を評価する
とにかくアガりにアガっているエターナルマスターズ、フルスポイラーを見てどう感じましたか?感じたことはストレートに書いてみよう。プレイヤーの声と深まった議論は必ずウィザーズが拾ってくれるはずです。
原文はこちら↓
Eternal Masters: The Good, The Bad, And the Ugly by Jim Davis
(翻訳開始)
もし先週のソーシャルメディアをチェックしていたら、みんながエターナルマスターズを心待ちにして興奮していたことは分かるだろう。
当然だ。みんな新しい、ひょっとしたらフォイルの《意志の力》、《魔力の墓所》、それにコモンでも《稲妻の連鎖》みたいな入手困難なカードが手に入るからだ。このセットはもう一つ今までと違う点がある:現実のモダンマスターズはむちゃくちゃ人気が出たし、MOのみで発行されたヴィンテージマスタイズも大人気だった。
マジックのプレイヤーはみんな、《精神を刻むもの、ジェイス》みたいな素晴らしいカードが好きなんだ!イェイ!みんなハッピーだね!
まあ、残念なことに、状況はもっと複雑なんだけどね。
★良い所:簡単にアクセスできる!
コンセプトとしてはエターナルマスターズは素晴らしい。マジックは25年も続いてもう信じられないほどの歴史を刻んでいる。多くのクラシックなカード、例えば《天秤》や《吸血の教示者》はみんなの食卓からプロツアーの高見までいたるところで物語を紡いできた。問題は、マジックが25年も続いているうちにどんどん広がって行って、これらのカードが不足して手に入れるのが困難になっていたんだ。
《稲妻の連鎖》はコモンなのに12ドルだ!《不毛の大地》はアンコモンなのに60ドルもする!《魔力の墓所》はプロモーションでしか入手できないんだ!
こういう高額カードが出て来るから、ゲームの歴史そのものが新規プレイヤーの手の届かないような存在になって、レガシーや統率者のようなフォーマットはコストがかかるようになってしまった。コレクション性は重要だが、ゲームを始める事そのものに費用がかかり過ぎるのは問題だ。ウィザーズは昔の「クロニクル」から多くを学んで、再録セットを適切な量だけ発行してカードの価値を損なわずにフォーマットを安定させられると、二度に渡るモダンマスターズの発表を通じて証明してきた。
《吸血の教示者》をを入れてキューブを完成させたい人は、1枚手に入れてそれが実現する。《嵐の神、ケラノス》の統率者デッキに《ダク・フェイデン》を入れたい人、《精神を刻むもの、ジェイス》をレガシーの奇跡デッキに入れたいプレイヤーも同様だ。プレイヤーはゲームがしたい、そしてコレクションも楽しい部分だが、これらのプレイヤーは新しいカードでゲームを始めることが出来る。
《意志の力》はジャッジ褒賞ではないが、《冥府の教示者》を打ち消すことが出来る。
★良い所:リミテッド!
みんなキューブドラフトが大好きだし、モダンマスターズとヴィンテージマスターズはキューブと普通のドラフトの中間のようなとてつもなく楽しいドラフトだ。山のようにアーキタイプがあるし《精神を刻むもの、ジェイス》や《毒の濁流》のような超パワフルなカードをドラフトで楽しむことは何物にも代えがたい。
プレビューの最初の段階で、エターナルマスターズはしっかりしたテーマとアーキタイプを組んで同じように楽しいドラフトが出来ることは明らかだった。ウィザーズはモダンマスターズやヴィンテージマスターズでのリミテッドに成功したが、このエターナルマスターズも全く劣っていない。パックの値段が高いから、ドラフトをやるのはちょっと高いが、そのカードがもたらす見返りは劣っていない。
そこにデメリットは一切ない。こいつでドラフトをするのが楽しみでもう待ちきれない。
★悪い所:レガシーとヴィンテージはさらに高くなる
ちょっと待った、さっきカードにアクセスしやすくなるっていったばかりじゃないか!《意志の力》が増える!《不毛の大地》が増える!素晴らしいじゃないか!
もちろん・・・しかし大きな問題がある。
じゃあ、エターナルマスターズに収録されなかったカードは?
《Underground Sea》や《ガイアの揺籃の地》のようなカードは元々半端じゃない高さだ。これは一番安くても1セットで1,000ドル近くする。レガシーのデッキを1個持つことは、車を1台買うのと同じぐらい高いんだ!
そしてエターナルマスターズの発売によって、これらのカードは安くならない。残念なことにむしろ逆なんだ。
2月15日にエターナルマスターズがアナウンスされた時、《Underround Sea》の値段は約260ドルから340ドルに跳ね上がり、それから動いていない。80ドルも上昇して、エターナルマスターズは結局レガシーもヴィンテージも参入しやすくはしていないんだ。もしエターナルマスターズの影響でレガシーやヴィンテージの興味が高まって、それらの入手しにくいカードへの需要が高まったら、どうなる?
もちろん《意志の力》は各20ドルで4枚揃うだろう、しかし《Underground Sea》に合計500ドルも君に払えるかな?
僕はマジックの経済に関する専門家ではない。今後数年の変動によってレガシーは今よりも高額なゲームにならないかもしれないが、本当に供給不足の問題が起きる。需要と供給が値段を決定するが、もしかしたらレガシーやヴィンテージを始めたくても、そもそもデュアルランドを分けてくれる存在を見つけること自体が困難になる危険性がある。
そして、真の問題に行きつく。
★クソな所:再録禁止リスト
いいか、僕がクソ(訳注:原文ではUgly、直訳で醜い)だと言ったのは、考えられる最悪な意味でという事だからね。
《Underground Sea》や《ガイアの揺籃の地》がエターナルマスターズに入らない理由は再録禁止リストがあるからだ。詳しくない人のために説明しておくが、再録禁止リストとは、ウィザーズがコレクションとしての価値を維持するために二度と再録をしないと約束するカードのリストだ。しかし、マジックの人口は現存するカードよりも拡大しすぎて、こんな異常な価格が生まれてしまったんだ。
公式には「ポリシー」と言われているから、再録禁止リストは単にマジックのプレイヤーへのいつでも変更できる約束に過ぎない。これまでも変更はしてきた、例えばリストからカードを出し入れしたり、限定のプロモーションとして再録禁止リストのカードを印刷したこともあった。僕は弁護士でもないが、このウィザーズ自身が作ったリストが法的にウィザーズを拘束しているとは思えない。もしこのポリシーを変更したことで訴訟が起こっても、この事でウィザーズに勝てるとは思えない。
にもかかわらず、再録禁止リストはエターナルマスターズという楽しくてノスタルジックなセットの汚点になるだろう。
モダンマスターズでは、ウィザーズはセカンダリーマーケットに被害を与えることなく再録が出来ると証明してみせたではないか。コレクションとしての価値は当然ゲームを存続させるためにも重要だ。もし《意志の力》がコモンで印刷されたらそりゃあもう大災害で、プレイヤーがお金を払う気を無くすだろうが、ウィザーズはもう25年もやってきたんだ。彼らはコレクション性を維持する必要があることは分かっているが、人々がゲームをプレイすることが出来るという事をバランスを取りながらやってきてる。
でも、彼らは慎重になり過ぎだ。《タルモゴイフ》の値段は上がり続けていて、両方のモダンマスターズがリリースされた後でもそれは変わっていない!
僕はデュアルランドのような再録禁止リストに収録されているカードに対しても、Zendikar Expeditionsのようなことをエターナルマスターズでやって、特殊なレアリティでもそれを手にする可能性を与えることが出来たんじゃないかと思うが、ウィザーズそうはしなかった。
エターナルマスターズはドラフトが楽しいし、カジュアルやキューブのために低価格でカードを揃える事が出来るようになった。しかしエターナルマスターズをきっかけにレガシーやヴィンテージを始めようとするプレイヤーは、残念ながら思ったようにはいかないだろう。
僕たちはただ、エターナルマスターズ2が発表された時に、ウィザーズが再録禁止リストを無視するか、形だけのものにしてしまう事を祈るしかない。
★モダン以降のカードだけでレガシーに挑んでみた
僕は毎週お題を出してもらってからアンケートを取り、その投票で決められたお題でデッキを組んでリーグに挑んでいる。前の週に僕たちはある挑戦をした。それは、「モダン枠のカードだけでレガシーをやる」というものだ。かつての栄光の日々を、本当の「親和」カードが使えた頃を思い返しながら、僕はこいつを組んだ。
★サンプルレシピ レガシー親和
(ミラディン・第8版以降でレガシーで使えるカードのみ使用。)
土地 14枚
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》
4 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
2 《空僻地/Glimmervoid》
クリーチャー 28枚
4 《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
4 《金属ガエル/Frogmite》
4 《メムナイト/Memnite》
4 《マイアの処罰者/Myr Enforcer》
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《信号の邪魔者/Signal Pest》
4 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
呪文 18枚
4 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
4 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 《物読み/Thoughtcast》
サイドボード 15枚
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
4 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
1 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
2 《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》
このデッキは間違いなく大爆発で、2つのリーグに挑んで6-4、奇跡に3回、バーンに1回負けた。このデッキの構造上奇跡は勝ち目がないけれど、幾つかの《秘密を掘り下げる者》デッキには親和らしい勝ち方が出来たよ。
今後もテーマに沿った特殊デッキでリーグを続けていくから、ストリームをチェックしてみてくれ!
(翻訳終了)
実際に、再録禁止リストは法的拘束力を持っているのでしょうか・・・?
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