MTGと政治の話:高度プロフェッショナル制度は追加の過労死法案
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普通の人たちが過労死するまで働かされる危険性が高い裁量労働制が内閣肝いりの「働き方改革関連法案」に含まれている問題ついて、このブログで反対を呼びかける記事を書きました。その後野党の反対や多くの方々の抗議行動が実り、裁量労働制については今国会では法案から削除するという判断がなされました。
しかしこれで安心というわけではありません。現在も「残業代ゼロ法案」「働かせ放題法案」に当たる高度プロフェッショナル制度が残っています。こちらも適用されたら何の制限も無く仕事をさせることが出来る危険な法案です。この場を借りて簡単に説明します。
高度プロフェッショナル制度とは?
高度プロフェッショナル制度は、今の政権が「働き方改革関連法案」と称して労働基準法改正案に盛り込んでいる新しい制度。
年収1075万円以上の金融ディーラーなどを想定して、労働基準法による労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規制の対象から外す(残業代の支払いが不要になる)ようになります。
もし適用された場合、ほんのわずかな形だけの健康対策を行っていれば、何時間働いても、残業代を払わなくても、休みが無くなっても、連勤で24時間働かせても合法ということになる変更です。
「年間6,000時間労働は不可能だ。問題は、それを強制しても違法でないということだ。死ぬまで働かせても違法ではないということになる。「そんな業務命令はありえない」というが、実際に過労死は起きている。」→
「働き方改革」一括法案、連日24時間勤務の命令も可能に。https://t.co/04zYSiQf7v— okasimon (@okasimon1) March 1, 2018
これまでずっと「残業代ゼロ法案」と批判されてきましたが、実態は残業代ゼロに留まらない、それよりもずっと恐ろしい無法地帯になる法案です。
年収1075万円なんて俺には関係ないよ!
高度プロフェッショナル制度は条件として特定の職業で、本人の合意があり、平均の3倍程度の年収が対象としています。経営者の利益を代表する経団連は、高度プロフェッショナル制度を「年収400万円」から適用することを要求してきました。
これは裁量労働制でも同じ話をしましたが、一度成立したらみんなに対象が広げられます。実際に派遣法は限られた専門職に限定するという説明で通した後、幅広い職種に適用できるように後から変わっていきました。
そして高度プロフェッショナル制度はもっと深刻です。なぜなら制度の対象は法律ではなく省令で定めることになっているから。一度制度が成立したら、国会での審議を通さずに、厚生労働大臣が好き勝手に変えられることになります。
今関係ない人もここで反対しなければ、派遣法と同じように多くの人が、残業代ゼロ、休み無しなどの働き方に巻き込まれる危険が大きいのです。
「成果で給料を払う」はデマ
時々新聞なんかでこの制度を「時間ではなく成果で評価する」「脱時間給」と説明することがありますが、実際の法案には成果主義で賃金を払うなんて一言も書いていません。
ただ単に、経営者が労働者を残業代を払わずに好きなだけ働かせても良いというだけの制度です。むしろ、どれだけ働いて成果を上げても給料は上がらなくなります。
残業代が無くなれば早く帰れる?
一部メディアではこういう話も時々ありますし、残業は働く側がダラダラ残業しているからだという理屈もあります。ですが、それは労働者が自分の仕事の量を自分で決められる場合の話です。
皆さんも、例えば携帯やネットの料金が定額だったらたくさん使った方がお得ですよね?残業代を払わなくても良いということは、どれだけ仕事を増やしても会社が払う給料は同じです。そうなれば、もっともっと仕事をさせた方が得ということになります。
どれだけ体がおかしくなっても、休みが無くなっても関係ない。仕事を増やされて「もう無理です」となっても無駄です。
「会社の命令に逆らうのか?クビにするぞ!?」
そう言われたら殆どの人は逆らえません。ですから、残業代が無くなれば早く帰れるという理屈は誤りでありデマなのです。
過労死は自己責任ではない
こういう話になると必ず「転職しろ」「ブラック企業を辞めないのが悪い」「管理人は自分が無能なのを棚に上げてる」という自己責任論が必ず出てきます。裁量労働制の記事でも解説しましたが、過労死が起こるのは決して自己責任ではありません。
そもそも制度や法律をどうするかという話をしているのに個人が悪いという理屈を持ち出しているのは、完全に的外れで論点のすり替えです。もしも仕組みが今のまま何も変わらなければ、その中で収入や生活の質に差が出るのは自己責任です。しかし、今まで普通に働いていた人が、ある日突然高度プロフェッショナル制度が加わったせいで、残業代が出ない、まともな時間に帰れない、休みもろくに無い、という状況になったら、それは自己責任と言えるのでしょうか?
そして、人が死ぬようなブラック企業的な働かせ方は、それ自体が許されないことです。それを防止するために労働基準法があって、労働時間の制限や割増の残業代を多く支払わせるようになってるんです。前の記事の繰り返しになりますが、現代社会では人を殺したら殺人罪になって刑罰を受けます。人が殺されたらそれは殺された弱い人の自己責任という理屈で、殺人鬼がやり放題で放置される、そんな中で生活できますか?過労死も同じなんです。過労死は人の命が奪われるという文字どり企業による殺人なのです。そのような働き方を押し付ける方が絶対的に悪い、取り締まるべき対象です。
過労死をせずMTGを続けるために
今MTGを続けている方も、思い通りに続けられていない方も、もし過労死したくない、仕事以外何もない生活は嫌だと思ったら、その声を上げてください。身近な人たちに少しでも伝えていただきたいと思います。とは言えこんな内容を直接人に話しづらい方が多いでしょうから、ブログやツイッターのようなSNSをやっているなら、そちらに書き込んで反対の声を周りの人に伝えてください。
説明が面倒くさいと思うなら、この記事や以前書いた裁量労働制についての記事にリンクを貼っていただいても構いません。
そしてそれだけでは足りません。今のまま同じ政権が続けば、また何度でも同じような過労死合法化法案が提出されます。ですからお近くで選挙があるたびに反対票を入れる事が必要です。
高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の対象拡大を取り入れようとしている現在の与党(自民党、公明党)、および賛成している政党(日本維新)には投票せず、過労死を増やす制度に反対を表明し、労働者の生活や権利を向上させる政策を掲げている政党(立憲民主党、共産党が勢力として比較的大きいです)に投票することを推奨します。
なんでMTGのブログに書いてるの?
純粋にMTGだけを続けたい人には不快な内容でしょう。別のブログでやれと言う意見もその通りだと思います。管理人だって本当はこんな事はやりたくない。
ですが、MTGのブログがMTGプレイヤーにしか読まれないように、そういう専門ブログは元々興味のある人にしか伝わりにくいのです。言ってしまえば身内だけで傷を舐め合うだけになるんです。これではいけない、本当に普段意識していない人たちに対して、こういう危険が迫っているというのを伝えなければ。そういう危機感を感じて、あえてMTGのブログを使って問題を伝え、反対を呼びかけているのです。
最後にこれだけは何度でも繰り返しますが、管理人はもっとMTGをやりたい、そしてMTGを多くの人にプレイできるようになってもらいたい、そう願っています。そしてそのためには、普通に働いて、平日は早い時間に帰って、土日は休んでみんなで集まってワイワイやる、そんな生活が最低条件なんです。
いくら働いても帰れない、週に1日も休みが無い、そんな働き方を押し付けるのが合法になる制度なんて害悪でしかありません。管理人はこんな制度には例外なく反対します。同時に、それを掲げるどんな政治家や政党も絶対に支持しないということを、ここで改めて表明します。
一人でも多くの方が、もっとMTGを自由に満喫できるように。