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MTGと政治の話:私が裁量労働制、そして自民党に反対する理由

      2018/03/04

※注意:一部の政治思想をお持ちの方には不愉快な内容を含んでいます。

※差別や誹謗中傷、その他管理人が悪質と判断したコメントは、削除及びIPを見てアクセス禁止とさせていただいております。

去年の事ですが、MTGと政治についてこんな記事を書きました。その時はかなり感情的な書き方が多く問題がある内容で多くの読者に不快感を与えたので、もうこれっきりにしようと自粛していました。

しかし現在、自民党政権が主導している「働き方改革関連法案」という名のもとに、多くの人がプライベートを失うほどの働き方を押し付けられる危険が高い「裁量労働制の対象拡大」などの内容が含まれ問題になっています。管理人としては絶対に見過ごすことが出来ず、少しでも多くの人に伝えなければならない。そう思いもう一度書くことにしました。

今回はFAQ形式で裁量労働制について何が問題なのかという事を可能な限りトーンを落として説明します。

(2/28:自己責任について、少し補足しました)

裁量労働制とは?

裁量労働制を簡単に説明すると、業務の遂行を労働者の自由な判断で行わせる必要がある業務に対し、「決まった労働時間だけ働いたことにして、それより長く働いても短く働いてもその時間働いたことにする制度」という事になります。

一見すると仕事を早く終わらせて余裕がある時はダラダラせずに早く帰れる、裁量労働制になれば余裕をもってフライデーナイトマジックに参加できると思うかもしれません。

しかし実体はその逆です。今まで以上に帰れなくなる、過労死するまで働かされる人が増える危険な制度です。

何が問題なの?

一見すると労働者が自由で柔軟な働き方を出来る制度と思うかもしれません。しかし、あなたが行う仕事の量を決めることは出来ません。ですからこんな流れになっていきます。

(例)

('◇')ゞ「仕事終わったんで、定時前だけど帰ります!」
( ゜Д゜)「もう終わったの?じゃあ、次はこれやって」
( ;∀;)「え?でも・・・裁量労働なんで・・・」
( ゜Д゜)「あ、そう。業務命令を断るんだ。へー。」
(*_*)「やりますよ・・・」

( ゜Д゜)「おまえたちは、裁量労働制だ。好きなときに帰れるぞ」
(*´▽`*)「わーい」
( ゜Д゜)「ただし、俺が与えた仕事を全部終わらせてからだがな」
( ;∀;)「えーん」

(-"-)「仕事が多くて終わらないッス」
( ゜Д゜)「仕事の進め方は自由でいいぞ」
(-"-)「いや、仕事が多すぎるんです。終わらないんです」
( ゜Д゜)「でも、仕事の進め方は自由だぞ」
(-"-)「・・・・(怒)」

(Yahoo!ニュース『裁量労働制とはこういう制度』より引用)

裁量労働制が適用されたら、いくら仕事をさせて残業が長くなっても企業が支払う給料は同じになります。そうすればこんな風に大量に仕事をさせて長く働かせた方が当然お得ということになります。実際に、適用されている職種では裁量労働制で働く労働者の方が長時間働いている傾向になっています。

「もっと働け。残業代はやらん。嫌ならクビだ。」

こう言われて逆らえる労働者が果たしてどれだけ存在するでしょうか?いや、実際には本来支払うはずの残業代を払わずにサービス残業している方々も多いのです。MTG風に言えば、

あなたは残業代を得られない。
あなたの仕事の上限は無くなる。

こういうやり方を合法的にやれるようにする、これが裁量労働制の正体。

そのため多くの野党や労働団体、弁護士は「定額働かせ放題」と呼んで反対しているのです。

自分の仕事には関係ないよ!

はい、管理人も含めて最初はみんなそう思っていました。

ですが前例があります。労働者派遣法は、最初は一部の限られた専門職だけでしか適用しないという触れ込みで可決しました。しかし、今はどうでしょうか?いろいろな業界で非正規の派遣が広がって低賃金で働かざるを得ない人が増えています。

裁量労働制も、今まさに広がっている途中なのです。普通の人には関係ない、そう思わせて目立たないように限られた形で導入しておいて、後から色々な業界で人働かせ放題にするために対象を広げているのです。

今の国会で裁量労働制の対象に拡大されようとしているのは「実施管理評価業務」と「法人提案型営業」です。「実施管理評価業務」は大雑把に言えば管理職っぽい業務という事ですが、非常に曖昧な定義なので係長や職場のリーダー程度でも適用される恐れがあります。部下を持つ管理職だけど現実には自由に帰宅できない「名ばかり管理職」と言われる人たちがターゲットになる可能性が高いです。

「法人提案型営業」というのは、法人を相手に交渉をする立場の営業です。こちらは管理人が遭遇した例を話しましょう。かつて会社のホームページを外注して作り直すという事をやったことがあります。その時に専門のホームページ制作会社と連絡を取り合い、実際に会って「うちならこういうページが作れるよ!」「値段はこれくらいだよ!」という話をしました。その時に会社に来てもらいお話をさせて頂いた方々が、今回のような法人提案型営業に当たります。

この中に入っていないという方も、労働者派遣法と同じように、最悪の場合これが可決されたらさらに対象が広がるような変更が加えられるという事は念頭に置いてください。

今までは何とか一部の野党や労働組合の反対で食い止めてきましたが、残念ながら世の中に十分伝わっていません。投票のたびに政権が変わらないまま、長時間労働や過労死を増やす政策や法案が繰り返し出されているのです。ですから、今の政権が行う政策では過労死が広がるという事を広く伝えて、選挙のたびにノーを突き付けないとこの流れは止まりません

過労死は自己責任じゃないの?

過労死や貧困の問題が出てくると必ず自己責任論が出てきます。「ブラック企業が嫌なら転職すればいい」という理屈も多いですね。ですが自己責任には二つの意味で違うという事をハッキリ断言します。

まず、政治の話というのは個人の能力ではなく制度や法律の問題です。もし何も変わらなければ、能力によって差がつくのは自己責任というのは同意できます。しかし、普通の人や優秀な人、同じ能力や条件の人が、制度や法律が変わったせいで過労死するまで働かされるようになった場合は、果たして自己責任と言えるのでしょうか?そのように制度を変える政治家に投票した人は自己責任になるかもしれませんが。

次に、過労死の問題は自己責任で片づけて良い範囲を超えています

もし日本で人を殺したり、強姦したり、強盗を起こせば捕まって刑罰を受けます。それはなぜか?そうしなければ、暴力に任せてやりたい放題する人が出てあちこちで事件が起こるからです。

もし、殺されるのが弱い人の自己責任だとしたらどうなるでしょうか?殺人鬼が町中を自由にうろうろする中で生活できるでしょうか?殺されたり強姦されたり強盗をされる可能性のある力のない人間は、安心して外を歩くことも出来ません。これでは社会がマヒしてしまいます。

管理人は、過労死というのは企業による強盗殺人と考えています。人が死ぬまで働かされることが自己責任だとは考えられません。そうならないために労働法があり、残業代を払うように決まっているのです。働く人の能力などに関係なく、過労死するようなブラック企業的な働き方自体が、殺人と同じで許されることではありません。それを働かせ放題にするというのは、力づくで人を殺したり強盗をしても良いという法律に変えているようなものです。

あと、管理人個人の状況について誤解している方が多いので補足しておきます。管理人は、以前は休み無しの絶望的なブラック企業でMTGも何も出来ない生活をしていましたが、現在は転職をして、そのおかげでブログを立ち上げたりMTGが土日くらいは出来る生活になっています。な

マジックに関係あるの?

関係あります!

マジックを楽しむためにいちばん必要なものは何でしょうか?

お金?チーム?プレイングやデッキ構築の実力?

時間です。

マジックは時間がかかるゲームです。大会で1マッチ終わるのに最長で50分かかります。ただの1ゲームです。

FNMに参加するためには、社会人は平日に残業せず仕事を終わらせて夜18時~20時にはショップに到着する必要があります。MOに参加するにしても、それなりの時間と余力が必要です。

もしPPTQのような競技大会に出るなら土日に休めないと参加出来ません。仮にグランプリに出場してトップ8まで残って優勝するとしましょう。それを実現するためには、そのグランプリがある週の土日2日間が休みでなければスタートラインにすら立てないのです。

長時間労働、夜遅くまで残業するのが当たり前、仕事のために休みを返上するという働き方をしていては、マジックをやりたくても出来ないのです。事実、管理人はずっと仕事が増える一方になって休みも自由に取れずマジックから離れていた時期が年単位でありますし、復帰してからは何人も「仕事で休めなくて半年ぶりにマジックをした」というような人と当たってきました。

マジックがやりたくても、仕事が増えすぎて自分の時間や休みが全くない。そうなってしまったら、私達の仲間であり対戦相手になるはずだった一人の人間が、プレイヤーとして死んでしまうのです。

だから、残業代を払わず無制限に仕事を増やし、何時間でも残業させられるような制度なんて絶対に受け入れられません。むしろ今よりも労働時間を制限し、残業代を増やして残業させにくいようにし、平日は週末を休むことが出来る。そういう世の中を目指す政治を支持するべきです。

労働問題だけ?視野が狭いんじゃないの?

もちろん、話そうと思えば他の論点も持ち出しても構いません。

憲法は変えるべきなのか?北朝鮮が発射するミサイルの脅威にどう対処するのか?原発は続けるべきか廃止するべきか?少子化対策のために子育てはどう支援していくのか?いつまでも過去の戦争で日本だけが謝罪と賠償をしないといけないのか?

政治が関わる問題は幅広いです。

ですが、ここでそこまで話し出したらキリが無いですし、もはや何のブログか分からなくなります。なのであえて、私たちのマジック生活に最も大きな影響がある経済や労働の問題だけを扱うようにしています。

どこを支持したら良いの?

裁量労働制が危険な制度というのは分かった。自分は過労死するまで働きたくない。だったら、選挙ではどこに票を入れたら良いのか教えて欲しい。以前書いた記事でも指摘されていました。

各政党の立場ついては、日本労働弁護団が昨年の衆議院選挙の際に各政党に行ったアンケート調査からチェックすることが出来ますが、こちらでも結論をまとめます。

当然、裁量労働制を打ち出している自民党は投票するべきではないし、アンケートに未回答ですが連立与党である公明党も支持するべきではありません。そのため野党を支持することになりますが、野党でも政策に対する立場は分かれています。

野党の中でも、立憲民主党、日本共産党、社会民主党は反対の立場を明らかにしています。長時間のサービス残業や過労死が嫌なら、選挙の時にはこれらの党の候補者に投票する事を推奨します。

逆に日本維新の党は裁量労働制については未回答ですがもう一つの「働かせ放題」法案にあたる高度プロフェッショナル制度に賛成をしていているので、労働者を過労死するまで働かせようとするブラック企業寄りの立場と判断できます。幸福実現党も裁量労働制や高度プロフェッショナル制度に賛成しているので投票するべきではありません。

最後に

きっと多くの人が「なんで政治の主張なんか書くんだ」と思っているでしょう。

管理人はただマジックをもっと多く長く楽しみたい、そしてもっと多くの人にマジックが広がって欲しいと思っています。そのために、今のようなサービス残業や過労死が野放しになるどころか、さらに悪化するような事は絶対に許せないのです。かつて実体験した過労死寸前まで働かされる生活に戻りたくないですし、同じような目に合う人が増えるのは見過ごせないのです。

なので、一定の方々に読んで頂いているこの場を使って政治的立場を主張してでも、この問題を広げて少しでも変えていく助けになりたい、そう思って記事を書いています。

「サービス残業したくない」「過労死したくない」という考えを共有いただけるなら、どうかこの問題を一人でも多くの方に伝えてください。身近な人に話しても良いですし、SNSに書き込んでも良いです。そこまでするのが面倒ならこの記事をシェアするのも良いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。一人でも多くの人がマジックという最高のゲームに参加できるようになることを願っています。

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