【翻訳】Pauperのミッドレンジはフィニッシャーが足りない!!
Pauperを考察する記事はあまり多くなく、踏み込んだ指摘や議論をするような投稿はなお少なくなってます。
特に黒コン、各種キティのプレイヤーは参考にしておきましょう。さらに、セレズニアカラー(緑白)のデッキが研究されています。果たして新たなメタに成長するのか?
原文はこちら。他のメディアを参照するような部分はカットしています。
Pauper’s Endgames by Alex Ullman
(翻訳開始)
先日フェイスブックを通じた議論で、カードの価値を最大限に発揮するにはマナカーブを終わらせる必要があるという話になった。
どういう意味か。《若き狼》、《スレイベンの検査官》、《血の署名》は全部ゲームを進めながらアドバンテージを稼ぐ。《若き狼》は相手の回答を劣化させ、検査官は手掛かりで、そして《血の署名》は純粋なドローでアドをもたらす。カードを増やすことに優れた低マナ域が多いPauperではどれも重要な存在だ。
そこで、このジェスカイミッドレンジを見て欲しい。
★サンプルレシピ ジェスカイ
土地 23枚
1 《ボロスの駐屯地/Boros Garrison》
1 《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
2 《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery》
2 《隔離されたステップ/Secluded Steppe》
2 《平穏な入り江/Tranquil Cove》
3 《忘れられた洞窟/Forgotten Cave》
4 《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
4 《古えの居住地/Ancient Den》
4 《大焼炉/Great Furnace》
クリーチャー 15枚
1 《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》
2 《孤独な宣教師/Lone Missionary》
4 《きらめく鷹/Glint Hawk》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
呪文 22枚
3 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《感電破/Galvanic Blast》
2 《炎の稲妻/Firebolt》
2 《カルドーサの再誕/Kuldotha Rebirth》
3 《未達への旅/Journey to Nowhere》
4 《胆液の水源/Ichor Wellspring》
4 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
サイドボード 15枚
1 《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》
1 《孤独な宣教師/Lone Missionary》
1 《未達への旅/Journey to Nowhere》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
2 《電謀/Electrickery》
2 《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
2 《水流破/Hydroblast》
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《軍旗の旗手/Standard Bearer》
ジェスカイはきめ細かな相互作用を通じてカードを増やすことに長けたデッキた。《胆液の水源》《予言のプリズム》は《きらめく鷹》《コーの空漁師》と組み合わさってゆっくりとカードを稼いでいく。そこから《未達への旅》《稲妻》《感電破》で相手のクリーチャーに回答しながら、《熟考漂い》を含む飛行クリーチャーでゲームを終わらせる。
それでも私にとっては、ジェスカイは何かが足りない。仮にPauperのパワーレベルが拮抗していたとして、このジェスカイがドローエンジンでやっているのは、ただ延々と同じカードを引いているだけだ。そう考えると、このジェスカイは他のミッドレンジデッキよりもむしろストンピィに近い。これは決して悪い事ではないが、Pauperのミッドレンジが抱えている問題が何であるかが見えて来る。カードを増やすことも必要なのだが、流れを変えるための脅威が必要なんだ。
さて、そこでこの5-0デッキを見てみよう。
★サンプルレシピ グリクシス金属術
土地 22枚
1 《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
1 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
1 《イゼットの煮沸場/Izzet Boilerworks》
1 《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
1 《ラクドスの肉儀場/Rakdos Carnarium》
2 《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》
3 《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
4 《大焼炉/Great Furnace》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》
4 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
クリーチャー 11枚
2 《古術師/Archaeomancer》
2 《甲虫背の酋長/Beetleback Chief》
3 《冷たき集いの吸血鬼/Bleak Coven Vampires》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
呪文 27枚
1 《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》
1 《墓の刈り取り/Reaping the Graves》
3 《終止/Terminate》
4 《感電破/Galvanic Blast》
3 《強迫/Duress》
3 《火柱/Pillar of Flame》
4 《チェイナーの布告/Chainer's Edict》
4 《物読み/Thoughtcast》
4 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
サイドボード 15枚
1 《冷たき集いの吸血鬼/Bleak Coven Vampires》
1 《強迫/Duress》
1 《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《撹乱/Disrupt》
3 《電謀/Electrickery》
2 《否認/Negate》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《粉々/Smash to Smithereens》
このデッキはジェスカイと非常に似ているが、ゲーム開始直後と終盤で動きが異なる。序盤のジェスカイはドローエンジンを回せるように戦場を整えることを重視する。しかしグリクシスは、《強迫》や《火柱》を投入してコントロールを狙っていく。ゲームの終盤になると、ジェスカイはカードを引き続け、脅威に対処する。しかしグリクシスは《冷たき集いの吸血鬼》がある。重たいが、ドレイン能力と合わせてフィニッシャーになれる。
さらにグリクシスは《幽霊のゆらめき》と《古術師》のコンボという選択肢を持っている。吸血鬼や《甲虫背の酋長/》をループさせれば絶大ンアドバンテージを獲得し、ゲームを掌握するだろう。ジェスカイにはこのようなカードが足りない。
しかしグリクシスはミッドレンジの理想からは程遠い。マナベースが脆弱であり、Pauperで3色を使うということは、最初の数ターン全く動けないのも同然だ。しかし、これらのミッドレンジが必要なものは何かというものを指摘する好例だ。Pauperのミッドレンジに足りないのは、マナカーブの頂点に立ち、ゲームを終わらせる手段だ。
もう一つ、この事を理解するいい例が、今の黒単コントロールを昔のレシピと比べてる事だ。昔のデッキは《騒がしいネズミ》と仲間たちを《発掘》で回してカードアドバンテージを稼ぎ続けていた。ジェスカイと同じように、ひたすら相手の脅威を除去し、パワー2のクリーチャーで殴るしかなかった。しかし、《アスフォデルの灰色商人》が登場してから変わった。黒単コントロールはゲームを締めくくることが出来るようになった。さらに《グルマグのアンコウ》がその部分を強化し、黒単はゲーム後半に強いデッキになっていった。
もちろんこれまでも《堕落》はあったが、灰色商人は継続して攻撃し、相手の攻撃をブロックし、後続の灰色商人の打点もプラスする。さらにアンコウは間違いなくフォーマット最強のクリーチャーの一つであり、他のカードでは真似出来ない速さでライフを奪っていく。
★サンプルレシピ 黒単
土地 23枚
1 《憑依された沼墓/Haunted Fengraf》
4 《やせた原野/Barren Moor》
18《沼/Swamp》
クリーチャー 19枚
1 《墓所のネズミ/Crypt Rats》
2 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》
4 《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》
呪文 18枚
1 《夜の犠牲/Victim of Night》
2 《堕落の触手/Tendrils of Corruption》
3 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《発掘/Unearth》
4 《チェイナーの布告/Chainer's Edict》
4 《血の署名/Sign in Blood》
1 《黒死病/Pestilence》
2 《Oubliette》
サイドボード 15枚
1 《死の重み/Dead Weight》
3 《強迫/Duress》
1 《回帰の泉/Font of Return》
2 《減縮/Shrivel》
2 《精神ねじ切り/Wrench Mind》
3 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
3 《押し寄せる砂/Choking Sands》
Pauperのミッドレンジは強力なゲーム終盤のプランを構築する必要があることが分かってもらえたと思う。どんなカードも、ゲームの勝利に結びつかなければ意味が無いんだ。こういった脅威のカードはあまり多くは無いから、自分である程度は考えて組まないといけない。
最近以下のリストで4-1になった。すぐにでも紹介したかったのだが、このデッキにも欠陥を指摘された。
★サンプルレシピ 緑白ミッドレンジ
土地 23枚
6 《平地/Plains》
8 《森/Forest》
1 《セレズニアの聖域/Selesnya Sanctuary》
2 《バントの全景/Bant Panorama》
2 《憑依された沼墓/Haunted Fengraf》
2 《隔離されたステップ/Secluded Steppe》
2 《平穏な茂み/Tranquil Thicket》
クリーチャー 26枚
1 《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》
2 《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》
3 《冷静な建築家/Stoic Builder》
4 《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》
4 《ラノワールの歩哨/Llanowar Sentinel》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
呪文 11枚
3 《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
1 《主の募兵/Cenn's Enlistment》
4 《未達への旅/Journey to Nowhere》
3 《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》
サイドボード 15枚
3 《軍旗の旗手/Standard Bearer》
2 《神への捧げ物/Divine Offering》
2 《虹色の断片/Prismatic Strands》
2 《一瞬の平和/Moment's Peace》
2 《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》
2 《ワイアウッドのかぎ爪/Claws of Wirewood》
1 《忘却の輪/Oblivion Ring》
1 《天使の粛清/Angelic Purge》
緑白ミッドレンジはカードアドバンテージに特化し、あらゆる時点で少なくとも自身の代わりを作り出すようなカードを唱え続ける。《スレイベンの検査官》と《ムラーサの胎動》が今のお気に入りだ。《戦隊の鷹》は仲間をかき集める厄介なやつで、《クァーサルの群れ魔導士》は素早く殴るほかにも、各上のブロッカーを突破する助けになる。《葉冠のドライアド》はフライヤーを抑え、授与によって布告を食らっても最低1体は残るようにプレイできる。《クローサの大牙獣》はカードアドバンテージを保証し、《ムラーサの胎動》と組み合わせて終盤に勝負を決めに行ける。
《冷静な建築家》は見慣れないだろう。2/3なので《耕すツリーフォーク》より戦闘は強いがアドバンテージは薄い。さらに、回収する土地を墓地に置くことを要求する。《隔離されたステップ》と《平穏な茂み》は合っているが、クリーチャーが豊富なこのデッキは《憑依された沼墓》が特に優秀だ。《バントの全景》はすぐにタップして無色マナを出せる点で《進化する未開地》より優れていると思う。
《ラノワールの歩哨》は5マナで2/3が2体出ると考えたら非常に強力だ。他のデッキであれば9マナ支払って全部出すことも狙うだろうが5ターン目の動きでこれを2体出せれば十分満足できる。《コーの空漁師》のようにタフネス3がフォーマットで有利になっている。、5マナで最高のプレイは《熟考漂い》だろうが、2体のクリーチャーを出すのは決して劣っていない。
このデッキの問題はやはり終盤戦だ。高マナ域が《クローサの大牙獣》しかなく、残念ながら決して強いとは言えない。このデッキを支えたのは《骨絶ちの矛槍》だった。たとえ1/1でも脅威に変わることが出来、序盤から効率的にマナを運用させられた。《グルマグのアンコウ》がいないこのデッキでは、《骨絶ちの矛槍》がどんなクリーチャーでもフィニッシャーに変える。
それで充分か?分からない。しかしこのデッキは間違いなく楽しいし可能性がある。ゲームを着実に進め、よほど勝てないドローでない限りはゲームを取る方法がいくらでもある。もちろん《骨絶ちの矛槍》を《剃刀のゴーレム》や《アスフォデルの灰色商人》に持たせた方が強いという意見もあるだろうが、《冷静な建築家》が持っても対抗できるじゃないか。これからもこのデッキは回して調整を続けようと思う。
(翻訳終了)
原文のコメント欄ではこの記事の筆者から《ラノワールの歩哨》をPauper界の《高原の狩りの達人》とまで呼ぶ評価が。
他に《アヴァシンの巡礼者》を緑のマナクリに変えてサイドからトロン対策の《Thermokarst》を入れる案、《ケンタウルスの癒し手》を入れる案なども出ていました。このセレズニアはまだまだ調整で伸ばす可能性が溢れているデッキです。
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