【翻訳】マジックの上達を支える4つの基礎力(CFB)
2018/01/29
Brian DeMarsプロによる環境を問わないマジック力の話ですが、ギリシア神話のマニアックなネタが続くので、分からない場合最初の方は読み飛ばした方が良いかもしれません。
(原文はこちら)
The 4 Fundamentals of Magic Mastery(Channel Fireball)
(翻訳)
マジックに打ち込むというのはオデッセイだ。長い旅のようなものである。
我々は最初のうちは何が待っているか分からないまま冒険と栄光を求めて旅立つ。練習して、トーナメントに出て、経験を得て上達すしようと望む。上手くプレイできてゲームが簡単だと感じる時もある。カリュプソーの島で難破するように、同じミスを何度も繰り返して次の挑戦に進めない時もある。
ポイントは、マジックは過程ということ・・・可能な限り強くなるために上達を妨げる一連の障害を乗り越える過程なのだ。
しかし、基礎はよく見落とされがちだ。
私がトーナメントに出る時、私の目標はいつも自分の能力で最大限のプレイをすることだ。私は準備を整え、トーナメントに向けた週に作り込んだプランを実行したいのだ。優勝したりトップ8になれるとは期待しない。私が期待するのは、上手くプレイして全てのマッチそれぞれに勝つ可能性を最大にする事だ。
大会の後は自分の経験を振り返る。自分はどうだったか?どうプレイした?改善できる点はどこか?
君は大会に出て、上手くいったけどあと少しだけ足りないと思ったことはあるだろうか?あと1回勝てばトップ8になれたかもしれない。惜しいけど、届かなかった。私は何回もそんなトーナメントを振り返って、何かどこかで大きな有利があれば、それかあと少し良ければたどり着けたかもしれないと何度も疑った。
ぼんやりとした「あと少しで届いたのに」という気持ちだ。
基本こそ君が探す魔法のアイテムだ。
私は多くのプレイヤーと、もっとうまくなって抽象的な「次のレベル」にたどり着くためにどうすればいいか語ってきた。
まるで「すぐそこ」の手で掴める所ににあるようだ。君が知らない秘密のサイドボード。君がプレイしなかった未知のデッキ。君が見落とした予想外のイカれたプレイ。クラーケンを倒してアンドロメダを救うために必要なメデューサの首。英雄の旅路を完了させるために手に入れるべき、欠けている何か。
もしオデッセイにメデューサが出てこないと気付いたなら、レベルアップに向けて300の経験値をやろう。
この記事のテーマは神話だ。秘密のサイドボードなんてものは、姫を助けるためにゴルゴンの頭を見つけるのと同じくらい、神話のような空想の産物だ。
我々は魔法のアイテムや知識がないから足踏みしているのではない。我々が持っている知識を正しく使っていないから先に進めないのだ。
我々を苦しめている物に対する回答は基礎力だ。
なるほど。確かに。基礎力か。
では、基礎力とは何だろうか?良い質問だ。複雑である。
基礎力とは、マジックの理論やプレイを組み立てる基本的な建物のブロックだ。基礎力とは、ゲームがどのように動き我々がどんな方法をとるかを組み立てる、または理解するための基本だ。
100%は目に見えないけれども基礎が大事だという例を今から4つ紹介しよう。
1.デッキ選択
マジックのプレイヤーが言うことで最も効果を発揮している中の1つが、「そのデッキはこの大会では素晴らしい選択だと思うけど、イベントまでにデッキを学んで使いこなせそうにないから、使い方が分かるデッキを続けるよ。」というものだ。
天才だ!
理にかなっている。デッキの動き、マッチアップ、サイドボードを知り尽くしていることが重要だ。実際、マジックの90%はこれだと確信している。
強いだけでなく君がプレイの仕方を知っているデッキを選ぶことが大事なのだ。もし上手く使いこなせないなら、現実的に勝てるのか?君は一日中オーバーヒート状態でプレイするつもりか?黄金の羊を探すくらい非現実的だ。
2.マリガン
「土地が無い」「全部土地」といった笑うような手札の事ではない。君が立ち止まって考え、「これはキープするべきか?」に対する答えが「複雑だね。」しかない手札の事だ。
君はどうやって、手札をキープするかマリガンするかを選んでいる?デッキ選択の話に戻るが、君がデッキに対する大量の経験を持っていれば、どんな手札が罠で、どんな手札が機能するか簡単にわかるはずだ。
自分のデッキでプレイする経験が多くないリミテッドのゲームではどうやってキープかマリガンかを決める?
基礎力だ。
この手札は何が上手くできる?この手札に欠けているものは何か?必要なものを引く確率はどのくらいで、引かなければどうなるか?
キープするか手放すかの判断は、多くの場合ゲーム中で一番重要な決断になる。
私もマリガンに関しては他のみんなと同じようなもので、多くの場合答えは僅差になりがちだ。プレイすればするほど、正しいプレイや間違ったプレイという考え方は現実的じゃないと思うようになる。選択にはリスクとリターンがあると信じている。あるプレイは他よりもリスクがあり、別のプレイは他よりもリターンがある。しかし不確定の情報や、土地を引けるかどうか分からない中での決断では、その結果を知ることは不可能だ。
多くの人がダメな手札をキープしてしまう。「とりあえずどうなるか見てみようか。」有名な最期の言葉だ。
個人的に、私は回数を重ねて自分の手札と勝つために必要なものが分かってから、もしマリガンするべきかどうか分からなかった場合は、自分自身にこの手札は勝つ可能性が高いかと聞いてみる。自分の中で真剣にこの手札はランダムな6枚よりも本当に強いのか?と自問自答するのだ。そしてやるべきことをやる。
基礎力なのだ。もし手札が強くないなら、どうしてキープする?
どうやって、いつマリガンするべきかについての素晴らしい記事がたくさんある。もし君がゲーム開始前の決断で後悔して悩まされるなら、それらの記事を読み直して、自分の決断を改善しよう。
答えは君の理解を超えるような神話的な知識ではない。答えは君の基礎を洗練させて、重要な場面を上手くやることだ。
3.サイドボーディング
デッキ選択はマジック全体で最も重要な技術だと思う。このたった1つの決断が君のトーナメント全てに影響する。
おそらく2番目に重要なのがサイドボードをどうやるかだ。大半の人は思いもしないが、サイドボーディングはデッキ選択とデッキ構築の延長だ。
マジックのサイドボードのゲームでは、君はデッキを再構築する機会が与えられる。カードを削り、カードを増やして新しいデッキを組み上げる。勝つチャンスを最大化する可能な限り最高のデッキを、君はどれくらいの頻度で組めるだろうか?
基礎力だ。君のサイドボードプランをどれだけ知っているか?君のサイドボードプランはどれだけ良い物か?それをどれだけテストしたか?君はそもそもそれが良いプランだと確信しているのか?
残念ながら、サイドボーディングを解明するのは簡単ではない。しかしそれらのスキルを磨き、より良いサイドボードのために自分の能力を高めようと考えることは、だれでも改善できる広大な空間だ。
強い基礎力=成功なのだ。
君が知ってる分野の達人になれ
Andrew Cuneo、Craig Wescoe、Brian Kibler、彼らはプロツアーチャンピオンである以外にどんな共通点があるか?
答えは、環境を問わず彼らがどんな種類のデッキをプレイするか90%は予測できることだ。Cuneoはコントロール。Wescoeは白ウィニー。Kiblerはミッドレンジのクリーチャーデッキだ。
上記のプレイヤー達はこのアーキタイプで、君が必ずしもデッキが存在すると予想しないフォーマットでも成功しているんだ!一体どうやったらそんな芸当が可能なんだ?
答えは嘘のように単純だ。彼らは何年も洗練して積み上げてきたマジックの独自の理論を持っている。彼らは自分たちが専門とする分野で、選んだアーキタイプがどう動いて、どう構築して、プレイし、マリガンし、サイドボーディングするかの基礎を調整し続けてきた。
特定のデッキを極めるというよりは、1つのデッキのスタイルを完全に極めて、そのコンセプトを幅広い一連のフォーマットで類似のデッキに流用しているのだ。
彼らはそれぞれ自分のデッキで他のデッキを倒すためにやるべき事を分かっている。
コントロールの達人はアグロデッキがどうやって勝とうとするかを分かっていて、それをどうマッチアップで利用するかを知っている。コントロールの達人はアグロデッキがどうサイドボードを行い、それにどう対抗するかを知っている。コントロールの達人はどんな手札がキープ出来て、または出来ないか、それが何故かを知っている。同じことがあらゆるマッチアップで言える。
私は全員が一つのスタイルのデッキだけをプレイするべきだとは言ってない。私は君が自分が知っていることを本当に理解するために取り組んで、君がやろうとしていることに適用するべきだと言っているのだ。
マジックは基礎力がすべてだ。ゲームがどう動き、デッキが何をするかの基本を理解するほど、君は上手くプレイできるようになる。
もし空高くそびえ立つような巨大な建物を組み上げるなら、基礎がぐらついていたら階層を重ねるのは難しいだろう。私は基本に帰ってそれらのスキルを磨くことで自分のゲームを改善する事に成功してきた。
デッキを選んで構築するときに良い選択をしよう。
マリガンで良い選択をしよう。
サイドボーディングで良い選択をしよう。
君が本当に正しいと知っている事を他の状況にも適用しよう。君が学んできた事の達人になろう。
これが出来たら、君は正しい方向に進んでいる。
基礎に集中するのだ。その技術を磨いて鍛えよう。マジックで強くなるためにデウスエクスマキナのような解決法を求めてはいけない。それよりも、基本に帰り、引き出すための確固たる戦術の揺るぎない基礎を築くのだ。
(翻訳ここまで)
最近の記事で時折見かける傾向で、「使いこなせないTier1よりは使い慣れたデッキを選ぶ」、「得意なアーキタイプを極める」、という考え方がじわじわ広まっている気がします。
管理人の場合は・・・やっぱり黒のハンデスかな?(笑)