【翻訳】なんと13歳の親和使いが決勝進出!!GPロサンゼルス決勝戦カバレージ
マンガのような話は本当に起こるんですね。モダンで行われたGPロサンゼルスで13歳のEthan Brown(イーサン・ブラウン)選手が決勝戦にまで登りつめて全米が震撼。その決勝戦を翻訳してみました。
(翻訳開始)
「《ハーキルの召還術》4枚あるんでしょ?もう、勝てる気がしないよ。」
「(引けるように)祈っておかないとね?」
こういう会話は決勝戦のテーブルではよくある。しかし普通じゃないのは、そのプレイヤーの片方が13歳という事だ。ポートランド(オレゴン州)出身のEthan Brownは全世界を震撼させた。準々決勝ではレガシーマスターとして知られるJoe Lossett、準決勝では計10回のグランプリトップ8を経験したPascal Maynardを倒してきた。そして彼はここにいる。マーフォークと共に勝ち上がってきたSimon Slutskyとの決勝戦を迎える。彼はこのまま優勝してしまうのか!?
「それから《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》・・・飛行をブロックできるのはそれだけだね。」
「ああ、今までは何とか《未練ある魂》で凌げたんだけどね。」そして溜息を突いた。「フェッチランドがいっぱい・・・。」Slutskyが微かに笑いながら答えた。カードをシャッフルしている間、彼は細かな動きからも緊張していることが伺えた。ライブラリーの横にはアップキープの処理を忘れないためのポーンが置かれ、プレイスコアを記録するメモがある。緊張を見越して準備していたのだろう。Brownの方にはライフカウンターと《電結の荒廃者》で使う+1/+1カウンター用のサイコロがある。
マッチアップはBrownが言ったように《ハーキルの召喚術》を巡る戦いになる。第1ゲームでは、Slutskyがマーフォークで逆転できるように《四肢切断》などの正しい除去を引けるかにかかっている。
しかし第2ゲーム以降は強力なサイドボードカードが「Brownの日」を覆す・・・いや、彼の「日」は覆らないだろう。13歳のプレイヤーが決勝戦にたどり着いた。ここで負けたとしてもこれ以上の事は無い。
★ゲーム内容
・第1ゲーム
Slutskyの手札は良かった。クリーチャー数枚、速すぎるものを除去する1枚の《四肢切断》。しかし彼はただ吹っ飛ばされないことを祈りながら、Brownの最初のターンに耳を傾けるしかなかった。「《ダークスティールの城砦》、《メムナイト》、《オパールのモックス》・・・」Brownが宣言する。そしてこう続けた。「タップして赤マナと無色マナ、《頭蓋囲い》」
Blownは少し考え込んでからターンを終えた。上々の立ち上がりだ。
Slutskyはメムナイトを除去したが、Brownはすぐに《ちらつき蛾の生息地》、《大霊堂のスカージ》と続いた。まばたき一つする間も無い。
Slutskyは頭を振った。「こいつは本物の悪夢だ。」
彼がこの状況を打開しようと必死に悩んでいる間、Brownは椅子に座って揺れながら鼻歌をはじめていた。まるでプレッシャーを感じていないようだった。
それでも彼は2枚目の《四肢切断》を持っていた。しかし次に聞いたのは、「《頭蓋囲い》をインスタントタイミングで動かして・・・」
「こいつは凄い。」Slutskyは笑っていた。「俺のライフは11で君は・・・20か?」だが、Slutskyの状況は悪化していた。必要な回答を手に入れてるようには見える。《大霊堂のスカージ》を自身の《幻影の像》と交換。《ちらつき蛾の生息地》も《広がりゆく海》で無力化した。
しかし次のターン、こう聞こえた、「《墨蛾の生息地》。《電結の荒廃者》は?」
「・・・ああ、解決していいよ。」これだけ除去しても、Slutskyは次の攻撃で毒カウンターを8個食らった。
アグロデッキから4枚の除去が飛んできても、この親和を止めることは出来ていなかった。次のターンでそれは終わる。Slutskyは1ゲーム負けた。
・第2ゲーム
しかしここからは《ハーキルの召還術》が輝く時間だ。Slutskyは《ハーキルの召還術》を最大限に活用するべく考えているだろう。2マナでBrownの戦場を全部バウンスできればどんな酷いゲームもひっくり返すことが出来る。とにかく《ハーキルの召還術》を祈っているだろう。
第2ゲームの手札を引いた時、Slutskyは突然爆笑した。それは6枚の土地と《ハーキルの召還術》だったのだ。彼は祈り過ぎたのだろうか。
マリガンした2度目の手札は1枚の土地と《ハーキルの召還術》があり、占術をしたら2枚目の「召還術」があった。彼は2枚目の土地を求めてそれをデッキの下に送った。これは「召還術」の引きすぎだ。
Slutskyが土地と召還術の間で悩んでる時、Brownは親和がやるべき事をやっていた・・・勝つことだ。《頭蓋囲い》をつけた《刻まれた勇者》が《電結の荒廃者》のバックアップを受けて7点のダメージを与えた。
しかしその時、Slutskyは2枚目の土地を手に入れ、ハーキルが使えるようになった。ダメージは受けたが、それ以上は許さない。《ハーキルの召還術》が全てをSlutskyの手に取り戻した。そして魚だ。
奴らはピラニアの群れのようにBrownのライフを食い尽していった。計画通り。
しかし、《ハーキルの召還術》は第三ゲームもSlutskyを救うことが出来るのか?
・第3ゲーム
最後のゲームでは、ここまでのBrownにしては一番遅い立ち上がりのように見えたが、そのトーナメントで一番輝いた瞬間だった。Brownは《羽ばたき飛行機械》を2枚唱え、《空僻地》を置いてターンを終了した。そして興奮を隠せないまま、Slutskyが最初のターンに唱えた《霊気の薬瓶》を《呪文貫き》で打ち消したのだ。
「おおおおおっ!」ホール中が、放送席が沸いた。Slutskyが崩れ落ちた。これが彼の最後なのか?
それから、《頭蓋囲い》と2枚の《電結の荒廃者》が戦場に加わり、数ターン後、Slutskyのライフは残り4点。Brownはただ微笑んで、あと1ターン攻撃出来ることを祈った。
彼は腕を組んだ。Slutskyが《ハーキルの召還術》を持っていないことを祈っていた。「持ってないように、持ってないように」、そう言っているのが聞こえそうだった。
だが、Slutskyは持っていた。
《ハーキルの召還術》はBrownの戦場の全てをバウンスさせた。前のゲームのように完全にゲームを逆転したとは言い難く、まだSlutskyの状況は決して良いとは言えなかった。それでも展開した戦場を全部手札に戻し、《空僻地》は無くなってしまった。
Brownは何事も無かったように戦場を埋め尽くし、Slutskyは再び次のターンに死んでしまうという所まで追い込まれた。
しかし次のカードを引き、考えて、彼はこれまで無かった何かが見えた。いや、見ていたのか、それとも初めからずっと狙っていたのか。分かるのは、カバレージ筆者には見えてなかっという事だけだ。Brownも、観戦していた大半の人たちも気づいてなかっただろう。
ライフが17点のBrownを前に、Slutskyは《メロウの騎兵》のアンタップ能力を使ってマナを水増しし、戦闘前に《アトランティスの王》を唱え、《変わり谷》を起動した。
Slutskyは全てを戦場に送り込んだ。そしてそれはちょうど17点のダメージだった。《広がりゆく海》のおかげで、この島渡りを持つ魚をBrownのクリーチャーは止めることが出来ない。
彼自身信じられなかった。Slutskyは両腕を上げた。この1試合で、「本物の悪夢」が「グランプリ優勝」に変わったのだ。
Simon Slutsky 2-1 Ethan Brown
(翻訳終了)
惜しくも決勝戦では敗退してしまいましたが、Brownはグランプリ決勝戦まで残った最年少のプレイヤーとのこと。
これからの活躍が期待できますね!
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