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無名の黒好きプレイヤーによるMTG記事の翻訳中心ブログです。ほとんどモダン。

まだ禁止するような時間じゃない

      2017/03/11

来週末はスタンダードのグランプリ静岡、さらにモダンマスターズ2017の発売、テンションが上がる週末です。しかしその前に禁止改定が。ネットを見ているといろいろ予想を立てている書き込みが見えますので、せっかくだから自分も参加してみます。

(注意)

この記事はプロプレイヤーの意見などの翻訳ではなく、特に結果を出したこともない一般プレイヤーの予想、考察というか戯言です。参考にしつつも鵜呑みにしないように!

プロツアー後の禁止を追加した意味

前回の『霊気紛争前』の禁止で《約束された終末、エムラクール》、《密輸人の回転翼機》、《反射魔導士》が禁止されたときに、毎回プロツアーの一定期間後に追加の禁止改定のスケジュールを追加するようになりました。これで何が変わるのでしょうか?

今までの新セット発売前のタイミングは、はっきり言えばどんな調整ミスをしても禁止改定を出来るタイミングではなかったので、実質100%機能していなかったのです。《約束された終末、エムラクール》等の禁止も、その前の《精神を刻むもの、ジェイス》《石鍛冶の神秘家》の禁止の時も、タイミングは緊急的な物でした。

今回の禁止はどうなるのか

予想というよりも個人的ない件ですが、特にスタンダードは何も禁止するべきではないと思っています。特にスタンダードはどちらかといえば、《集合した中隊》の退場以降では一番健全なスタンダードのように見えます。メタが3個4個くらいのデッキを中心に構成されて、その中でトップメタが入れ替わるくらいなら、むしろ自分の感覚ではごく普通のスタンダードのように感じます。そして、今このタイミングで禁止を出すのは、マジックの今後にとってかなり重大な損失になると考えてます。

禁止で一番損をするのはだれか

スタンダードでカードを禁止されて、一番ダメージが大きいのは誰でしょうか?

競技レベルのトーナメントにガンガン出てシングルエリミネーション入りを連発している友人が言うには、「別に今使ってるカードが禁止されても構わない」という事でした。このプレイヤーは環境が変わるたびに一切の妥協をしないデッキを組んで、毎週のようにトーナメントに足を運び、そのために相当な金額を使っているはずですが、それでも買ったカードに対して十分使い込んで元を取ってるから納得しているのです。

ショップに関しては何とも言えませんが、今までもさらに派手な禁止改定を生き延びて来ていますから、そうそう簡単に経営破綻することは無いのでしょう。

しかしそこまでの時間も経済的なリソースも無いカジュアル寄りなプレイヤーにとっては、禁止は最悪です。限られた時間でしか遊ぶことは出来ず、そのために環境ごとのスタンダードを1個組むだけでもかなりの負担です。プレイヤーの中には高いレアを諦めてデッキを組む人もいますし、そのための記事は一定の需要があります(MTG Goldfishでは毎週低予算記事が連載されてます)。

例えば禁止改定まで機体デッキを使い続けていたプレイヤーが、《密輸人の回転翼機》が禁止されてから代わりに《キランの真意号》を買ったり、無限コンボに目覚めて《サヒーリ・ライ》を買ったとします。1か月前にカードが禁止されたばかりで、その後で組みなおしたデッキがまた禁止になったら。それによってせっかく1枚何千円も払って買ったカードが紙切れに変わるのです。そのペースの禁止が今後のセットも続くとしたら・・・管理人だったらもう怖くてスタンダードは手が出せません

さて、少し話題が変わります。

スタンダードの人気を取り戻すために

こういう言い方だと語弊がありますが、自分の周りでもちょくちょくスタンダードの人気が落ちてモダンの熱が上がっているという話を聞くようになりました。ある時は、「本当にスタンの人口減ってるの?」という話をしていたらいきなり「今のスタンダードはク〇だから!」と横から叫ばれたこともありました。霊気紛争以降の話です。あとは、日本最強候補のプロが平然と今のスタンダードは一番つまらないと発言するような事態も起こってます。

禁止改定のルーチンを見直すことも、スタンダードのテコ入れの一つだったのかもしれません。しかし、頻繁にカードを禁止するような流れは危険なのは先ほど書いた通り。どうしたらそれを改善できるか?ここからはいよいよ自分の独断と偏見とエアプなので見たい人だけどうぞ。

価格競争を受け入れる

今は世界的に見てもカードゲーム市場はかなり競争が激しくなっています。特にHearthstoneやその亜種のShadowverseのような、携帯ゲームのカードゲームがこれからますます盛んになって行く事でしょう。マジックはどのカードゲームと比べても高コストになりやすいです。リミテッドのためにパックから出て来るカードの金額の期待値が低くなりがちですし、デッキに最大4枚入れられ、デッキの枚数も75枚と多い方なので、需要があるカードはとことん値段が上がります。

今は何とも言えませんが、スタンダードショウダウンやモダンマスターズ2017のように少しずつ高額カードの供給を増やす試みもされています。特に新規の受け入れ先になるスタンダードは、カードを安くする方向にウィザーズが今後も動いていく可能性は高いでしょう。

ある性質のカードの量産をやめる

今から4マナ以下のカードを適当に並べていきます。これらは全部一定の共通点があります。

《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
《反逆の先導者、チャンドラ》
《最後の望み、リリアナ》
《霊気池の脅威》
《屑鉄場のたかり屋》
《不屈の追跡者》
《薄暮見の徴募兵》
《ピアの革命》
《造命師の動物記》
《上級建設官、スラム》
《守られた霊気泥棒》
《速製職人のスパイ》
《光袖会の収集者》

これのカードはどれも「起動型能力または誘発型能力で、トークンまたはカードを半永久的に増やす」という性質の能力を持っています。管理人が個人的にスタンダードの環境をつまらないと感じるのは、これだけあればトップメタデッキから低予算カジュアルデッキまであらゆるデッキに入るから。現代のマジックは単に「脅威が強く回答が弱い」というだけでは説明できません。こんな1枚ドローエンジンが大量にあるのが特徴です。そして、下手をしたらこういうカードをより多く、長くコントロールした方がリソース差で勝つというゲームになりがちなのが現代のスタンダードです。

モダンでランタンコントロール8-Rackにロックされたり、スタンダードで青系コントロールに完全制圧されて何もまともにプレイできないのはクソつまらないと思う人は一定数いると思います。だとしたら逆に、カード1枚回答しきれないだけで、その後のゲームは相手だけ毎ターンカードを2枚引く、相手だけトークンを出すのをただじっと見続けるというのもつまらないと思うのは管理人だけでしょうか?

このように「自分だけカード2枚引ける」ドローエンジン量産時代のマジックは、ゲームも長引きますしコンボデッキ以上にマジックならではの相互干渉を否定する要素です。今は苦労してランタンコントロールのシナジーを完成させたり《パンハモニコン》デッキを組むよりも、《反逆の先導者、チャンドラ》や《造命師の動物記》でカードを引きながら殴ったり、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で毎ターンブロッカーを作り続けた方が安定して勝てるデッキを組みやすいのです。カード1枚と簡単なデッキ調整だけで成立するドローエンジンの作り過ぎは、デッキ構築の多様性を下手な無限コンボより狭めています。

複数タイプに対応した除去を増やす

前からこのブログが翻訳した記事やコメントで言われているように、《安らかなる眠り》や《真髄の針》みたいな強力な回答や対策を常備しておくべきだという意見はよく見かけます。開発も今はそれを認識しているようで、《致命的な一押し》のようなカードは確かに印刷されています。

あとは《突然の衰微》とまではいかなくても《英雄の破滅》《化膿》くらいの複数の種類のパーマネントを除去する軽いカードを増やした方が良いのかも。スタンダードの限られたカードプールと弱体化したカウンター・手札破壊では、クリーチャー、プレインズウォーカー、アーティファクト、エンチャントの全てに対応するのは難しく、どうしても上で書いた「相手だけカードを2枚引くマジック」になってしまいがちです。

最後に

こんな話に最後まで付き合っていただき、ありがとうございます。この記事は取りあえず思いついたことを残したくて書いているだけなので、ツッコミどころも少なくないでしょう。みなさんの意見、考え、アイデアがあったらコメントに書き込んでくれたら嬉しいです!

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